くらし

犬の防災グッズリスト|同行避難の備蓄量を体重別に換算【2026年版】

環境省が示す「最低5日分、できれば7日分」を、体重別のフード量・水量に数字で換算しました。同行避難の正確な意味、避難所にペット用備蓄がない前提、そして自分の区の受け入れ方針を確認する手順まで、公的資料をもとにまとめています。

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防災リュックとキャリーとフードのそばに座る柴犬
この画像はAIで生成したイメージです。実在の場所・書類・製品を撮影したものではありません。

「防災リュック、そろえなきゃなあ」と思いながら、うちの子のぶんまでは手が回っていない。

そういう人、多いと思います。人間用の非常食セットはネットで買えば終わりですが、犬のぶんは「何を、どれだけ」がまったく分からない。検索すると「5日分〜7日分を備えましょう」とは出てくるのに、じゃあ5kgの子で何グラムなのか、水は何リットルなのかは、どこにも書いていない。

「5日分」という数字は環境省の資料にちゃんと書いてあるのに、それを「うちの子だと何グラム」に翻訳したものが見当たりません。 各自治体のページも「最低5日分」と書いて終わっています。

なので、この記事では環境省の別の資料(ペットフード・ガイドライン)にある体重別のカロリー表と水分量表を使って、そこを換算しました。数字の出どころは全部あとで示します。

あわせて、「これは知らない人が多いのでは」と思った2つも書きます。ひとつは「同行避難」という言葉が意味していること。もうひとつは避難所にペット用の備蓄は基本的にないということです。


この記事の目次
  1. 時間がない人へ、3行の結論 🐾
  2. 体重別・数量入りチェックリスト(フードと水)
  3. フードの必要量(ドライフード換算)
  4. 水の必要量
  5. ペットシーツの枚数
  6. 優先順位1から順に、中身を詰めていく
  7. 優先順位1|動物の健康や命に係わるもの
  8. 優先順位2|情報
  9. 優先順位3|ペット用品
  10. 「同行避難」の意味を、ここで一度そろえておきたい
  11. 自分の区の受け入れ方針を確認する4ステップ 📋
  12. STEP 1|「○○区 ペット 同行避難」で検索し、区の公式ページを開く
  13. STEP 2|受け入れ場所が「全避難所」か「指定施設のみ」かを見る
  14. STEP 3|飼育場所と受け入れ条件を読む
  15. STEP 4|最寄りの避難所に当てはめ、必要なら電話で聞く
  16. 一次情報:公的資料を読んで分かった5つのこと 🏥
  17. 1|国のガイドラインには「動物を連れての避難は不可」という選択肢が明記されている
  18. 2|文京区は「サークル165個」まで数字を公開している
  19. 3|避難所に届く支援物資に、ペットフードは含まれない前提で考える
  20. 4|環境省の2つのガイドラインで、必要カロリーの計算方法が食い違っている
  21. 5|ドライフードの使用期限は「開封後約1か月」。ローリングストックの周期はここで決まる
  22. よくある質問
  23. Q. 避難所に行けば、ペットフードや水はもらえますか
  24. Q. 犬と同じ部屋で寝られる避難所はありますか
  25. Q. 狂犬病の予防注射をしていないと、受け入れてもらえませんか
  26. Q. どうしても避難所にペットを連れて行けない場合は
  27. Q. 防災リュックが重すぎて持てません。どうすれば
  28. まとめ:まず今日やるなら、この3つ
  29. 楽天で探す

時間がない人へ、3行の結論 🐾

  • フードと水は7日分。5kgの犬ならドライフード約860g・水約2.6L、10kgなら約1,440g・約4.4L(環境省の体重別データからの換算。根拠は後述)
  • 避難所にペット用の備蓄はない前提で組む。文京区は「ペットフード等は備蓄しておりません」と明記、江戸川区は「避難所にはペット用品の備蓄はありません」と明記しています
  • 「同行避難できます」=「同じ部屋で一緒に過ごせます」ではない。多くの区で、飼育スペースは人の居住スペースと分けられます。屋外を原則としている区もあります

この3つが腑に落ちれば、あとは買い物です。以下は、その中身を数字で詰めていく話になります。


選び方の基準

防災グッズの記事はたくさんありますが、「なぜその順番なのか」を書いていないものが多いです。ここを先に出しておきます。

この記事の順位は、環境省「人とペットの災害対策ガイドライン<一般飼い主編>」19ページの「ペット用の備蓄品と、持ち出す際の優先順位の例」をそのまま採用しています。 編集部が独自に並べ替えたものではありません。

環境省の優先順位は3段階です。

  1. 優先順位1|動物の健康や命に係わるもの
  2. 優先順位2|情報
  3. 優先順位3|ペット用品

この順番のいいところは、「情報」が2番目に来ていることだと思います。首輪やフードは買えば手に入りますが、ワクチン接種歴や飲んでいる薬の名前は、その場では誰にも用意できません。ここが2位に置かれている理由は、読むと納得します。

数量については、以下の基準で決めました。

決めたこと 何を根拠にしたか
日数 環境省ガイドライン「少なくとも5日分[できれば7日分以上]」
フードのグラム数 環境省ペットフード・ガイドラインの体重別カロリー必要量(成犬)を、代謝エネルギー360kcal/100gのドライフードで割って換算
水のリットル数 環境省ペットフード・ガイドラインの「犬と猫が1日に必要な水分量」の表をそのまま日数倍
ペットシーツの枚数 編集部が「ふだんの1日枚数×日数×1.2」で試算(後述)

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環境省が示す「持ち出す際の優先順位」 優先順位1 動物の健康や命に係わるもの 療法食・薬/フードと水(5日分、できれば7日分以上)/キャリーやケージ/予備の首輪とリード/シーツ・トイレ用品・食器 優先順位2 情報 飼い主の連絡先と預け先/ペットの写真/ワクチン接種状況・既往症・投薬中の薬・かかりつけ動物病院 優先順位3 ペット用品 タオル・ブラシ/ウェットタオル/ビニール袋/匂いのついたおもちゃ/ガムテープやマジック

「情報」が2番目、というのがこの図の肝です。おやつやおもちゃより先に、母子手帳みたいなものを用意しろ、という話なんですね。


体重別・数量入りチェックリスト(フードと水)

いちばん知りたいところから行きます。

フードの必要量(ドライフード換算)

計算の手順はこうです。

  1. 環境省ペットフード・ガイドラインの「犬のカロリー必要量(kcal/日、参考値)」から、成犬の値を取る
  2. 表に載っていない体重は、同ガイドラインの計算法「体重(kg)の0.75乗 × 132(成犬期の係数)」で補う
  3. それを、ドライフードの代謝エネルギー360kcal/100gで割ってグラム数にする

3の「360kcal/100g」は、市販のドライフードによくある値として置いた仮定です。うちの子のフードの袋に書いてある数字と違うなら、そちらで計算し直してください。 ペットフード公正取引協議会の会員企業の製品には、公正競争規約にもとづいて「給与方法」(1日に与える量や回数)と「成分」が表示されています。袋の裏を見るのがいちばん正確です。

体重 1日のカロリー 1日のフード量 5日分 7日分
2kg 約222kcal 約62g 約310g 約430g
3kg 約301kcal 約84g 約420g 約590g
5kg 441kcal 約123g 約610g 約860g
8kg 約628kcal 約174g 約870g 約1,220g
10kg 742kcal 約206g 約1,030g 約1,440g
15kg 1,006kcal 約279g 約1,400g 約1,960g
20kg 1,248kcal 約347g 約1,730g 約2,430g
30kg 1,692kcal 約470g 約2,350g 約3,290g
40kg 2,100kcal 約583g 約2,920g 約4,080g

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※5kg・10kg・15kg・20kg・30kg・40kgは環境省の表の数値、それ以外は同ガイドラインの計算式から算出。フードのカロリーは360kcal/100gと仮定。

うちの子だとどうなるか、に翻訳します。

  • 5kgのトイプードル → 7日分で約860g。1kgの小袋を1つ、防災リュックに入れておけば足ります
  • 10kgのフレンチブルドッグ → 7日分で約1,440g。1.5kgの袋を1つ、または1kg袋を2つ
  • 20kgの柴犬〜中型犬 → 7日分で約2,430g。2.5kg袋を1つ。だいぶ重くなります
  • 30kgの大型犬 → 7日分で約3,290g。3kg袋+予備。人間の非常食と合わせると、リュックは相当な重さです

大型犬の飼い主さんは、ここで「持てないな」と思うはずです。実際、環境省のガイドラインでも避難訓練のチェックポイントとして「指定緊急避難場所、指定避難所までの所要時間の確認」が挙げられています。荷物を持った状態で一度歩いてみる、という話です。

水の必要量

こちらは換算ではなく、環境省ペットフード・ガイドラインに体重別の表がそのまま載っています。「犬と猫が1日に必要な水分量(mL、フードから摂る水分を含む)」という表です。

体重 1日の水分量 5日分 7日分 2Lペットボトル換算(7日分)
2kg 190mL 950mL 約1.3L 約0.7本
3kg 260mL 1.3L 約1.8L 約0.9本
5kg 370mL 1.85L 約2.6L 約1.3本
8kg 530mL 2.65L 約3.7L 約1.9本
10kg 630mL 3.15L 約4.4L 約2.2本
15kg 850mL 4.25L 約6.0L 約3.0本
20kg 1,060mL 5.3L 約7.4L 約3.7本
30kg 1,440mL 7.2L 約10.1L 約5.0本
40kg 1,780mL 8.9L 約12.5L 約6.2本

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7日分の水は、体重でここまで変わる 環境省「飼い主のためのペットフード・ガイドライン」の1日必要水分量を7倍したもの 体重3kg 約1.8L 体重5kg 約2.6L 体重10kg 約4.4L 体重20kg 約7.4L 体重30kg 約10.1L 0L 10L

ここで注意点をひとつ。この数値は「フードから摂る水分を含む」量です。ウェットフードなら食事からかなりの水分が入りますが、環境省の資料によれば犬用ドライフードの水分含量はおおよそ10%。つまりドライフード派の場合、この量のほとんどを飲み水でまかなうことになります。

もうひとつ。同じ資料には「人間用のミネラルウォーターは、マグネシウムなどのミネラルが多く含まれているものもあるため、犬や猫に与える場合は注意が必要です」という記載があります。硬度の高い海外のミネラルウォーターを箱買いして備蓄している家庭は、ペット用のぶんだけ軟水を分けておくという考え方もあります。持病がある子については、かかりつけの獣医師に相談してください。

ペットシーツの枚数

ペットシーツの必要枚数について、港区も文京区も江戸川区も「ペットシーツ」「トイレ用品」と書くだけで、枚数には触れていません。

なので、ここだけは編集部の試算です。考え方はシンプルにしました。

ふだんの1日の使用枚数 × 日数 × 1.2(予備)

1.2を掛けているのは、避難生活では失敗が増えると想定されるからです。環境省のガイドラインには、過去の災害で実際にあった問題として「犬がペットシーツに排尿、排便せず、苦労した」という記載があります。逆のパターン、つまりふだん外でしかしない子が、慣れない場所で回数が増える、ということも起こりえます。

ふだんの使用枚数 5日分 7日分
1日2枚 12枚 17枚
1日3枚 18枚 26枚
1日4枚 24枚 34枚
1日5枚 30枚 42枚

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※編集部試算。公的資料に基づく数値ではありません

30枚となると、レギュラーサイズでもそれなりの体積です。圧縮袋に入れておくと、リュックの容量がかなり変わります。

ちなみに、環境省が挙げている「災害時にあったこと」のなかに「外飼い猫のため、被災当日から自宅に戻らず同行避難できなかった」というものがあります。犬の話ではありませんが、ふだんの排泄が屋外に依存していると災害時に困る、という点は共通します。トイレシーツを室内で使える状態にしておくことは、そのまま防災対策になります。


優先順位1から順に、中身を詰めていく

ここからは、環境省の3段階に沿って、実際に何を入れるかを見ていきます。それぞれ「これがないとどうなるか」と、弱点(用意しても万能ではない点)をセットで書きます。

優先順位1|動物の健康や命に係わるもの

環境省ガイドライン19ページの原文はこうです。

  • 療法食、薬
  • ペットフード、水(少なくとも5日分[できれば7日分以上])
  • キャリーバッグやケージ(猫や小動物には避難時に欠かせないアイテム)
  • 予備の首輪、リード(伸びないもの)
  • ペットシーツ
  • 排泄物の処理用具
  • トイレ用品(猫の場合は使い慣れた猫砂、または使用済猫砂の一部)
  • 食器

療法食と薬が、フードより先に書かれているのがポイントです。環境省が挙げる過去の災害の事例にも「避難所にペットとともに避難したが、特定食(治療食等)の入手に苦労した」というものがあります。一般的なドッグフードは支援物資として届く可能性がゼロではありませんが、特定の療法食が偶然届く可能性は、かなり低いと考えるべきでしょう。

持病があってフードや薬が決まっている子の場合、どれくらいの量を手元に置いておけるかは、かかりつけの獣医師に相談してみてください。処方の関係で長期分を一度に出せないケースもあります。

リードの「伸びないもの」という指定にも意味があります。避難所や避難経路では、伸縮リードだと距離のコントロールが効きません。予備を用意するなら、短めの固定リードが挙げられています。

📝 選ぶ前に知っておきたいこと

キャリーやケージは、「持っている」だけでは足りません。環境省の資料では、犬について「ケージなどの中に入ることを嫌がらないように、日頃から慣らしておく」がしつけの項目に入っています。過去の災害の問題としても「犬がケージになれていないため、過度なストレスを与えてしまった」が挙げられています。買って押し入れにしまってある状態は、災害時にはあまり機能しません。月に何度か、家の中で扉を閉めて過ごす時間を作っておく。それが実質的な準備です。

優先順位2|情報

  • 飼い主の連絡先と、ペットに関した飼い主以外の緊急連絡先・預け先などの情報
  • ペットの写真(印刷物とともに携帯電話などに画像を保存することも有効)
  • ワクチン接種状況、既往症、投薬中の薬情報、検査結果、健康状態、かかりつけの動物病院などの情報

写真について、環境省の記入シートには「顔のアップの写真(できれば飼い主と一緒に写っているもの)」と「全身の写真(できれば模様や尻尾の形など特徴がわかるもの)」の2種類が指定されています。飼い主と一緒に写っている写真、というのは所有者を示すためです。スマホの中に何百枚もあっても、この2枚を印刷して防災バッグに入れておく意味はここにあります。

📝 選ぶ前に知っておきたいこと

スマホの中だけ、は危ういです。停電が長引けば充電が尽きます。環境省が「印刷物とともに」とわざわざ書いているのは、そういうことでしょう。

優先順位3|ペット用品

  • タオル、ブラシ
  • ウェットタオルや清浄綿(目や耳の掃除など多用途に利用可能)
  • ビニール袋(排泄物の処理など多用途に利用可能)
  • お気に入りのおもちゃなど匂いがついた用品
  • 洗濯ネットなど(猫の場合は屋外診療・保護の際に有用)
  • ガムテープやマジック(ケージの補修、段ボールを用いたハウス作り、動物情報の掲示など多用途に使用可能)

ガムテープとマジックが入っているのが面白いところです。ケージの補修や段ボールでのハウス作りに加えて、「動物情報の掲示」という用途が挙げられています。避難所のケージに「〇〇(犬種)/オス/人見知りします/飼い主は体育館●●区画」と書いて貼る、という使い方が想定されているのだと思います。

📝 選ぶ前に知っておきたいこと

ここは後回しにされがちですが、「匂いのついたおもちゃ」は、慣れない環境でのストレス対策としては地味に効くとされています。ただ、これで落ち着くかどうかは個体差があるので、期待しすぎないほうがよさそうです。


「同行避難」の意味を、ここで一度そろえておきたい

備蓄の話をひととおりしたところで、いちばん誤解の多いところに行きます。

東京都保健医療局は、同行避難をこう定義しています。

同行避難とは、災害発生時に飼い主が飼育しているペットを同行し、避難所まで安全に避難することです。避難所において人とペットが同一の空間で居住できることを意味するものではありません。

環境省のガイドラインにも、同じ趣旨のメモが同行避難のフロー図の横に置かれています。

同行避難とは、避難行動を示す言葉であり、避難所でペットを人と同室で飼養管理することを意味するものではありません。

つまり「同行避難」は、行き方の話であって、着いてからの過ごし方の話ではありません。

「同行避難できます」が意味していること/いないこと ○ うちの子と一緒に、避難所まで行ける これが「同行避難」。避難という行動そのものを指す言葉です △ 避難所で、同じ部屋で一緒に過ごせる これは別の話。多くの区は居住スペースと分離。屋外を原則とする区もあります × フードやシーツが避難所に置いてある 「ペットフード等は備蓄しておりません」(文京区)。持参が前提です

そして、避難所での過ごし方にはいくつものパターンがあることが、環境省のフロー図に描かれています。避難所内での飼養環境の例として挙げられているのは次の4つです。

  • 室内同居
  • 飼養者と非飼養者に分かれて室内同居
  • 室内別居(ペット飼養部屋)
  • 敷地内で屋外飼養

どれになるかは「避難所のルールに従う」とされています。つまり、自分の避難所がどれなのかは、事前に自分で調べるしかありません。

もうひとつ、東京都のページには見落とされがちな一文があります。

どのような状況下においても必ず同行して避難しなければいけないというものではなく、自宅が安全であり、定期的にペットの世話をするために戻れる状況にあるのであれば、避難所に連れて行かないということも選択肢の一つです。

世田谷区にいたっては、そもそも「在宅避難」を推奨したうえで、自宅での生活が危険な場合に同行避難、という順番で書いています。同行避難は義務ではなく、選択肢のひとつ。ここは押さえておきたいところです。


自分の区の受け入れ方針を確認する4ステップ 📋

ここが、この記事でいちばんお伝えしたい実務です。

東京都保健医療局のページには、こう書かれています。

避難所の設置、管理は区市町村で行います。避難所での同行避難の対応については、お住まいの区市町村にお問い合わせください。

都は方針を示しますが、実際のルールを決めるのは区市町村です。だから、東京都のページを読んで満足していると、いざというとき自分の避難所のルールを知らないまま行くことになります。

以下の4ステップでたどれます。10分あれば終わります。

自分の区の方針を確認する4ステップ STEP 1 「○○区 ペット 同行避難」で検索 区の公式サイトの ページだけを開く STEP 2 受け入れ場所を 確認する 全避難所か、指定の 施設だけか STEP 3 飼育場所と 条件を読む 屋内別室か屋外か、 予防接種の要否 STEP 4 最寄り避難所に 当てはめる 地域防災計画・避難所 運営マニュアルで確認 STEP 2〜3が区のページに書かれていない場合は、区の防災担当課または生活衛生課に電話で聞くのが早いです。

STEP 1|「○○区 ペット 同行避難」で検索し、区の公式ページを開く

まとめサイトではなく、区の公式サイトのページを開いてください。たいていは「くらし」「動物愛護」または「防災」のカテゴリの下にあります。区によって、防災の下にあったり生活衛生の下にあったりして、サイト内検索だと出てこないことがあります。検索エンジンで区名と一緒に引くほうが速いです。

STEP 2|受け入れ場所が「全避難所」か「指定施設のみ」かを見る

ここが最初の分かれ目です。

  • 江戸川区:「すべての避難所でペット同行避難が可能です」
  • 港区:17の区有施設をペット受け入れ可能施設として指定

「近所の小学校が避難所だから大丈夫」とは限らないわけです。港区のように指定制の場合、ペットを連れて行ける施設が家からいちばん近い避難所とは違う、ということが起こりえます。

STEP 3|飼育場所と受け入れ条件を読む

ここも区ごとに差があります。

  • 港区:「避難者の居住スペースと分離した、雨風を防ぐことができる屋外を原則」。補助犬(盲導犬・介助犬・聴導犬)のみ飼い主と同じスペースへの受け入れ
  • 文京区:「避難者の居住スペースとは離れた別室、もしくは屋外にテントを張りスペースを確保」
  • 北区:避難者の居住スペースから離れた雨風がしのげる場所。学校の昇降口など
  • 世田谷区:校庭の場合、「鉄棒や鉄柱のある場所を選び、支柱につなぎとめたり、風雨をしのぐためブルーシート等を使用して雨よけを作ります」

屋外が原則、と書いている区があることは知っておいたほうがいいと思います。真夏や真冬の災害を想像すると、クレートに毛布やタオル、あるいは冷却材を入れておく意味が変わってきます。

条件面では、北区が犬について「狂犬病の予防接種を受けていること」を条件に挙げており、接種していない場合は受け入れ不可としています。狂犬病予防注射は狂犬病予防法にもとづく年1回の義務ですが、注射済票を鑑札とともに首輪に付けているか、ここで一度確認しておく価値があります。

STEP 4|最寄りの避難所に当てはめ、必要なら電話で聞く

区のページに書いていない場合は、地域防災計画や避難所運営マニュアルのペット項に記載されていることがあります。それでも分からなければ、区の防災担当課か生活衛生課に電話するのが結局いちばん早いです。「〇〇小学校が避難所だと思うのですが、犬を連れて行った場合どこで飼育することになりますか」と聞けば済みます。

世田谷区のように「避難所ペット登録カード」への記入・提出を求めている区もあります。様式が事前に公開されていれば、書ける項目を埋めて防災バッグに入れておくと、当日が楽になります。


一次情報:公的資料を読んで分かった5つのこと 🏥

ここからが、この記事を書いた理由の部分です。ランキングやリストだけなら他にいくらでもあります。環境省と内閣府と各区の資料から、他ではあまり書かれていない点を5つ挙げます。

1|国のガイドラインには「動物を連れての避難は不可」という選択肢が明記されている

内閣府の「避難所運営等避難生活支援のためのガイドライン」(令和6年12月改定)の「18.ペットへの対応」には、こう書かれています。

避難所のペット対策については、避難所ごとの避難スペースや施設ごとの事情等を踏まえ、事前にペット同伴避難のルール(同居可、同居はできないが飼育スペースあり、動物を連れての避難は不可等の別)を決めておくことが重要です。

3つ目に「動物を連れての避難は不可」が挙がっています。 国のガイドラインが、市町村に対して「連れて来られない、という選択肢も含めて事前に決めておきなさい」と言っている、ということです。

同じ項目には、こう続きます。

また、避難スペース等の状況からペットの居場所が確保できない場合は、ペット同行避難者の受入れができる避難所やペットの預け先を紹介できるように各避難所から到達可能な範囲の施設に関する情報を整理しておきましょう。

つまり、受け入れられない避難所が現実に想定されている。だから環境省のガイドラインも、平常時の対策の7番目に「ペットの一時預け先の確保」を置き、「指定避難所などでの飼養以外にも、親戚や友人など、複数の一時預け先を探しておくことが望ましい」としているわけです。

なお内閣府のガイドラインは「同伴避難」という言葉を使っており、環境省・東京都の「同行避難」とは指しているものが少し違います。同じ国の資料の中でも用語が完全にはそろっていないので、区のページを読むときは言葉より「どこで飼うと書いてあるか」を見るほうが確実です。

2|文京区は「サークル165個」まで数字を公開している

区の備蓄について、ここまで具体的に書いている例は珍しいと思います。文京区のページには、

各避難所に5個、計165個です。

とあり、備蓄しているのは中大型犬用のサークルのみ。そして、

ペットフード等は備蓄しておりませんので、飼い主が非常食などをまとめた避難セットを準備することも必要です。

と明記されています。165個を33か所で割ると、1避難所あたり5個。

これを、東京都保健医療局が公表している令和5年度の犬の登録頭数と並べてみます。文京区の犬の登録頭数は6,640頭。 サークル165個で割ると、約40頭に1個という計算になります。しかもこれは狂犬病予防法にもとづいて登録された犬の数だけで、猫や小動物は含まれていません。

もちろん、全頭が同時に同行避難するわけではありませんし、サークル以外の場所(つなぎ留め、持参クレート)での飼育も想定されています。それでも、「区の備えをあてにする」という発想が成り立たないことは、この数字だけでもはっきりします。文京区が「飼い主が用意することも必要です」と書いているのは、そういう意味でしょう。

参考までに、東京都内で犬の登録頭数がもっとも多いのは世田谷区の44,099頭です。次いで八王子市28,283頭、足立区26,837頭、練馬区25,809頭、大田区25,711頭。数字は東京都保健医療局の公式ページで区市町村別に確認できます。

3|避難所に届く支援物資に、ペットフードは含まれない前提で考える

環境省のガイドラインは、過去の災害で実際に起きたこととして、こう書いています。

避難してしばらく、人の支援物資はあるが、ペットフードの支援はなかった

さらに、

救援物資のペットフードを食べなくて困った

とも。届かないことがある、届いても食べないことがある。この2段構えです。

各区のページも一貫しています。

  • 江戸川区:「避難所にはペット用品の備蓄はありません」
  • 文京区:「ペットフード等は備蓄しておりません」
  • 新宿区:「飼育に必要なケージ、フードも、原則として飼い主が用意」
  • 世田谷区:「エサ、ケージなどのペット用品は、持参してください」

5日分・7日分という数字は、「支援が届くまでのつなぎ」ではなく「自分で全部まかなう期間」として設計されている、と読むのが自然だと思います。

4|環境省の2つのガイドラインで、必要カロリーの計算方法が食い違っている

同じ環境省の「飼い主のためのペットフード・ガイドライン」なのに、旧版と2018年8月版で、犬の必要カロリーの求め方が違います。

計算方法 5kgの犬の場合
旧版(第5章) 体重(kg)の0.75乗 × 132(成犬期の係数) 441kcal/日
2018年8月版(第4章) 安静時要求量(体重×30+70)× 係数1.6 352kcal/日(避妊去勢済みの例)

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差は約25%。 7日分の備蓄量で言えば、5kgの犬で約860g(旧版基準)と約685g(2018年版基準)の違いになります。

どちらが正しい、という話ではありません。2018年版のほうは「避妊去勢済み」の犬を例にした係数1.6での計算で、同じページに「係数は、成長段階や活動量によって変わります。詳しくは獣医師に相談しましょう」と注記があります。旧版は成犬期一般の参考値です。

この記事の表では旧版の数値(多いほう)を採用しました。 防災の備蓄で足りないより余るほうがまし、という判断です。ただ、これは編集部の判断であって、公的な推奨ではありません。うちの子の適正量については、フードの袋の給与量表と、かかりつけの獣医師の意見を優先してください。

2018年版には、フードの袋の値を使った計算式も載っています。

1日当たりの食事量 = A ÷ B × 100 A…1日当たりのエネルギー要求量(DER)/B…ペットフードに表示された代謝エネルギー(ME)

袋に「350kcal/100g」と書いてあれば、Bは350です。今回の表ではBを360として計算しました。

5|ドライフードの使用期限は「開封後約1か月」。ローリングストックの周期はここで決まる

環境省の2018年版ガイドライン第3章「ペットフードの保存方法」に、開封後の使用期限の目安が種類別に示されています。

フードの種類 使用期限の目安 保存方法
ドライフード、ソフトドライフード 開封後約1か月 袋をしっかり閉じ、直射日光が当たらない温度・湿度が低い場所
セミモイストフード 開封後2週間程度 袋をしっかり閉じて冷蔵庫
ウェットフード 開封後1日 開封したらすぐに与える

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これは備蓄設計に直結します。

  • 未開封のドライフードを、賞味期限内で回していくのが基本形。1kgや1.5kgの小袋のほうが管理しやすいのは、開封後1か月という制約があるからです
  • ウェットフードや療法食の缶・パウチは「未開封であれば長期間保存できる」とされており、水分も同時に摂れる利点があります。ただし開封後1日なので、小さいサイズを選ぶほうが無駄が出ません
  • 冷蔵庫での保存については、ドライフードは「与えるときの出し入れの際に、フード表面に結露を生じ、カビ等の発生の原因になることがあるので常温で保存する」と書かれています

ローリングストックの周期は、「3か月に1回、防災バッグの中身を開けて普段のごはんに回し、新しいものを入れる」あたりが現実的だと思います。狂犬病予防注射の時期や、フィラリア予防の開始時期と合わせて年に数回チェックする、という決め方もあります。


よくある質問

Q. 避難所に行けば、ペットフードや水はもらえますか

東京都内の複数の区が「備蓄していない」と明記しています(文京区、江戸川区)。環境省のガイドラインにも、過去の災害で「人の支援物資はあるが、ペットフードの支援はなかった」という記載があります。もらえる前提では組まないほうがよさそうです。

Q. 犬と同じ部屋で寝られる避難所はありますか

区によります。環境省のフロー図には「室内同居」「飼養者と非飼養者に分かれて室内同居」「室内別居(ペット飼養部屋)」「敷地内で屋外飼養」の4パターンが挙げられており、どれになるかは避難所のルール次第とされています。東京都内では、港区が「屋外を原則」、文京区・新宿区・江戸川区が居住スペースとの分離を明記しています。お住まいの区の公式ページで確認するのが確実です。

Q. 狂犬病の予防注射をしていないと、受け入れてもらえませんか

北区は、犬について「狂犬病の予防接種を受けていること」を受け入れ条件とし、接種していない場合は受け入れ不可としています。他の区も、環境省のガイドラインの「ペットのしつけと健康管理」の項目に沿って、狂犬病予防注射に加え各種ワクチンの接種を前提としているところが多いです。狂犬病予防注射は狂犬病予防法にもとづく年1回の義務でもあります。接種状況について不安がある場合は、かかりつけの動物病院に相談してください。

Q. どうしても避難所にペットを連れて行けない場合は

環境省のガイドラインには、避難所以外の選択肢として「ペットは自宅、人は避難所」「車、テントを活用して生活」「知人や施設などに預ける」が挙げられています。ただし車中泊については「ペットだけを車中に残すときは、車内の温度に常に注意し、十分な飲み水を用意しておく」「安全の確認とエコノミークラス症候群には十分注意」という注記が付いています。熊本地震では、車中泊避難によるエコノミークラス症候群が問題になったと記載されています。

Q. 防災リュックが重すぎて持てません。どうすれば

これは大型犬の飼い主さんによくある悩みだと思います。環境省の避難訓練チェックポイントには「指定緊急避難場所、指定避難所までの所要時間の確認」「通行できないときの迂回路の確認」が挙げられています。一度、実際の荷物を持って歩いてみるのが、いちばん確実な答え合わせだと思います。持てないと分かれば、自宅に置く分と持ち出す分を分ける、家族で分担する、といった設計に切り替えられます。

在宅避難が可能な状況なら、そもそも全部を持ち出す必要はありません。世田谷区が「在宅避難」を先に置いているのは、そういう考え方の表れでしょう。


まとめ:まず今日やるなら、この3つ

長くなったので、最後にたたみます。

  1. フードの袋の裏を見て、うちの子の1日量に7を掛ける。 その量を書いたメモを、フードのそばに貼っておく
  2. 区の公式サイトで「○○区 ペット 同行避難」を検索し、受け入れ場所と飼育場所を確認する。 屋外なのか別室なのかで、用意するものが変わります
  3. 環境省の記入シートを埋める。 名前、体重、マイクロチップ番号、鑑札番号、ワクチン接種日、既往症、かかりつけの動物病院。これはお金では買えない備蓄です。シートは環境省のペットの災害対策ページからガイドラインをダウンロードすると、最後のページに付いています

数量や条件は2026年9月4日時点のものです。区の受け入れ方針は地域防災計画や避難所運営マニュアルの改定で変わりますので、最新は各区の公式サイトで確認してください。年に一度は見直してみることをおすすめします。

そして、この記事の数字はあくまで一般的な成犬を想定した換算です。持病がある子、療法食の子、シニアの子、子犬については、必要な量も持ち出すべき薬も変わります。 かかりつけの獣医師に「災害時に何日分持っておくといいか」を一度聞いておくと、備蓄の設計がぐっと具体的になります。


主な参考資料

  • 環境省「人とペットの災害対策ガイドライン<一般飼い主編>」(平成30年3月)— 備蓄品の優先順位、同行避難のフロー図
  • 環境省「飼い主のためのペットフード・ガイドライン」— 体重別カロリー必要量、1日に必要な水分量、フードの保存方法
  • 内閣府「避難所運営等避難生活支援のためのガイドライン」(令和6年12月改定)— 18. ペットへの対応
  • 東京都保健医療局「ペットの防災」— 同行避難の定義、区市町村の役割、犬の登録頭数
  • 港区・文京区・新宿区・世田谷区・江戸川区・北区の各公式ページ — 受け入れ方針、飼育場所、備蓄状況

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調べたもと(出典 18件)
  1. 『同行避難』するために・・・日ごろからの備えが大切です|ペットの防災東京都保健医療局・確認日 2026-09-04
  2. 災害、あなたとペットは大丈夫? 人とペットの災害対策ガイドライン<一般飼い主編>(PDF)環境省・確認日 2026-09-04
  3. ペットの災害対策[動物の愛護と適切な管理]環境省・確認日 2026-09-04
  4. 避難所運営等避難生活支援のためのガイドライン(令和6年12月改定、PDF)内閣府(防災担当)・確認日 2026-09-04
  5. 避難所の生活環境対策|防災情報のページ内閣府・確認日 2026-09-04
  6. 飼い主のためのペットフード・ガイドライン 第5章 体調管理について(PDF)環境省・確認日 2026-09-04
  7. 飼い主のためのペットフード・ガイドライン(2018年8月版)第4章 体調管理について(PDF)環境省・確認日 2026-09-04
  8. 飼い主のためのペットフード・ガイドライン(2018年8月版)第3章 ペットフードの保存方法(PDF)環境省・確認日 2026-09-04
  9. 飼い主のためのペットフード・ガイドライン(2018年8月版)第1章 最初に知っておきたいこと(PDF)環境省・確認日 2026-09-04
  10. ペットに関する東京都の災害対応|ペットの防災東京都保健医療局・確認日 2026-09-04
  11. 令和5年度 犬の登録頭数・狂犬病予防注射頭数(東京都内区市町村別)東京都保健医療局・確認日 2026-09-04
  12. ペット同行避難について港区・確認日 2026-09-04
  13. 人とペットの災害対策文京区・確認日 2026-09-04
  14. ペットの災害対策江戸川区・確認日 2026-09-04
  15. 災害時における避難所へのペットの同行避難北区・確認日 2026-09-04
  16. ペット防災について新宿区・確認日 2026-09-04
  17. 災害時のペットの避難について世田谷区・確認日 2026-09-04
  18. 公正競争規約に基づく必要表示事項及び表示制限についてペットフード公正取引協議会・確認日 2026-09-04

価格や条件は変わることがあります。購入前に各公式ページで、体のことはかかりつけの獣医師にご確認ください。 調べ方と広告の扱いは運営者情報・編集方針に書いています。

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