保険

ペット保険はいらない?5つの理由を公的データで検証【2026年版】

「ペット保険はいらない」とよく言われます。貯金で足りるのか、手術は実際いくらか、保険料は年齢でどう上がるのか。日本獣医師会の診療料金実態調査、アニコム家庭どうぶつ白書2025、ペットフード協会の飼育実態調査、各社の重要事項説明書を実際に開いて、主張を1つずつ数字で確かめました。

床に座るダックスフンドと硬貨の瓶
この画像はAIで生成したイメージです。実在の場所・書類・製品を撮影したものではありません。

この記事にはアフィリエイトリンク(広告)が含まれます。

「ペット保険っていらないよ」。犬を飼うと決めたとき、たぶん一度は言われますよね。

言う人の理屈もちゃんとあります。保険料を払い続けるより貯金したほうがいい。健康な犬なら病院にほとんど行かない。年を取るほど保険料が上がって、結局続けられない。どれも、聞くとそれっぽく聞こえます。

でも、それっぽく聞こえるだけで、数字で確かめたものは意外と見当たりませんでした。なので今回、公的な調査と各社の重要事項説明書を実際に開いて、1つずつ確かめています。

先に言っておくと、この記事は「保険に入るべき」とも「入らなくていい」とも書きません。どちらが正解かは、あなたの家の貯金額と、犬に対してどこまでやりたいかで変わるからです。判断に必要な数字を並べます。


この記事の目次
  1. 時間がない人へ:結論を3行で
  2. この記事の検証のしかた(結論より先に読んでほしい)
  3. 「いらない」派の5つの主張と、検証結果の早見表
  4. 主張1「貯金しておけば足りる」を検証する
  5. 犬の生涯で、医療費はいくらかかるのか
  6. 別の調査だと、もっと安い
  7. 結論:この主張は「条件つきで正しい」
  8. 主張2「手術なんてめったにしない」を検証する
  9. 何にかかっているのか
  10. 結論:この主張は「前半で正しく、後半で崩れる」
  11. 主張3「手術しても数万円で済む」を検証する
  12. 手術料の中央値(犬・体重10kg・麻酔料を含まず)
  13. 「手術費用」は手術料だけではない
  14. 結論:この主張は「手術料だけを見ると誤解する」
  15. 主張4「年を取ると保険料が上がって続かない」を検証する
  16. 実際の保険料表(2026-08-19時点)
  17. 生涯でいくら払うのか
  18. 結論:この主張は「正しい。ただし想像よりは緩やか」
  19. 主張5「結局、払った分は戻らない」を検証する
  20. 平均で見るか、中央値で見るか
  21. 上限があることも忘れずに
  22. 結論:この主張は「中央値で見れば正しい」
  23. 補足:保険が「使えない」と言われる4つの穴
  24. 穴1:待機期間
  25. 穴2:既往症・特定傷病の除外
  26. 穴3:支払限度額と限度日数の壁
  27. 穴4:そもそも補償対象外のもの
  28. ここからが本題:他所があまり書いていない一次情報
  29. 1. 国が「ペット保険料」を物価統計の品目にした
  30. 2. 「保険会社」と「少額短期保険業者」は、破綻したときの扱いが違う
  31. 3. 重要事項説明書に、驚くほど細かく「出ないもの」が書いてある
  32. 4. 待機期間中に発症した病気は、生涯対象外になることがある
  33. 5. 更新時に「断られる」ことがある会社と、そうでない会社がある
  34. 6. 相談件数の推移
  35. で、どういう人には要らないのか
  36. 保険が「要らない」と言いやすい人
  37. 保険を検討したほうが説明しやすい人
  38. よくある質問
  39. Q. 「若いうちは入らず、高齢になってから入る」ではだめですか
  40. Q. 一度解約したら、また入れますか
  41. Q. 健康な犬でも、保険料は上がりますか
  42. Q. 犬種によって保険料が違うのはなぜですか
  43. Q. 「窓口精算」ができる保険のほうがいいですか
  44. Q. 持病がある犬でも入れますか
  45. Q. 補償割合は50%と70%、どちらがいいですか
  46. Q. 免責金額ありの保険は損ですか
  47. Q. 加入率20%は低すぎませんか。日本人はケチなんでしょうか
  48. Q. 動物病院の治療費を事前に知る方法はありますか
  49. まとめ:数字で言えることと、言えないこと

時間がない人へ:結論を3行で

  • 貯蓄が100万円以上あって、それを犬の医療費専用に別枠で確保できる人は、保険なしでも成立します。データ上、犬の生涯診療費は中央値でおよそ109万円でした
  • 貯蓄がまだ薄い0〜3歳の時期は、誤飲や骨折が保険なしだと重い。この時期だけでも入る価値は数字で説明できます
  • 迷っているうちに8歳になると、選択肢そのものが消えます。 主要な商品の多くは新規加入が7歳11か月まで。「あとで考える」が一番リスクの高い選択でした

この記事の検証のしかた(結論より先に読んでほしい)

順位や結論を出す前に、何を根拠にしたかを書きます。ここを書かない検証記事は、正直あまり信用しなくていいと思っています。

使ったのは次の4系統だけです。

情報源 発行元 何がわかるか 弱点
家庭飼育動物(犬・猫)の診療料金実態調査 公益社団法人 日本獣医師会 手術料・入院料・検査料の実際の分布と中央値 平成26年度に実施した調査。回答は獣医師1,365名
アニコム 家庭どうぶつ白書2025 アニコム ホールディングス 年齢別・疾患別の年間診療費(80万頭規模) 同社のペット保険契約者のデータ
令和7年 全国犬猫飼育実態調査 一般社団法人 ペットフード協会 一般の飼育者が実際に払っている年間支出 自己申告アンケート
各社の重要事項説明書・保険料表 各保険会社 免責・待機期間・更新条件・保険料の上がり方 会社ごとに条件が違う

← 表は横にスクロールできます →

判断の基準は3つに絞りました。

  1. 金額は中央値で見る。 平均値は一部の高額例に引っ張られます。「うちの犬がだいたいこれくらい」を知りたいなら中央値のほうが実感に近い
  2. データの偏りを隠さない。 保険会社のデータは保険加入者のものです。加入者は無保険の飼い主より病院に行きやすい。これは差し引いて読む必要があります
  3. 保険料と補償上限は、会社の公式ページに載っている数字だけを使う。 比較サイトの要約は使いません

金額はすべて 2026-08-19時点 に公式ページで確認したものです。保険料も診療料金も変わります。


「いらない」派の5つの主張と、検証結果の早見表

先に一覧です。詳しくは次の章から1つずつ。

# よく聞く主張 検証結果 一番効く数字
1 貯金しておけば足りる 条件つきで正しい 生涯診療費の中央値は約109万円。ただし平均は約194万円
2 手術なんてめったにしない 前半生は正しい/後半生は崩れる 0〜4歳の年間診療費の中央値は21,860円。10歳以上は99,346円
3 手術しても数万円で済む 手術料だけを見ると誤解する 椎間板ヘルニア手術の手術料中央値は76,108円。麻酔料は含まない
4 年を取ると保険料が上がって続かない 正しい。ただし想像よりは緩やか 小型犬70%プランで月3,090円→8,510円(約2.8倍)
5 結局、払った分は戻らない 中央値で見れば正しい/平均で見れば逆 中央値ベースの期待回収は保険料を下回った

← 表は横にスクロールできます →


主張1「貯金しておけば足りる」を検証する

いちばん強い主張です。そして、いちばん条件が効きます。

犬の生涯で、医療費はいくらかかるのか

アニコムの『家庭どうぶつ白書2025』に、犬の年齢ごとの年間診療費が載っています。対象は801,127頭。2023年4月1日から2024年3月31日までに同社の保険契約を開始した0〜15歳の犬で、通院・入院・手術を含む金額です。

アニコム ホールディングス株式会社「ペット保険のビッグデータを活用『アニコム 家庭どうぶつ白書2025』発行」
アニコム ホールディングス株式会社「ペット保険のビッグデータを活用『アニコム 家庭どうぶつ白書2025』発行」(anicom.co.jp・2026-10-12時点の画面)
犬の年齢別 年間診療費(1頭あたり) 平均値 中央値 6.3万 6.5万 9.4万 14.7万 21.7万 26.1万 0歳 3歳 6歳 9歳 12歳 15歳 出典:アニコム『家庭どうぶつ白書2025』2-3-1(対象801,127頭、通院・入院・手術を含む)

年齢別の数字はこうです。

年齢 平均値 中央値
0歳 63,014円 26,499円
1歳 54,106円 23,400円
3歳 65,101円 28,380円
5歳 82,886円 37,895円
7歳 105,442円 51,876円
9歳 146,671円 79,038円
11歳 197,536円 118,590円
13歳 234,401円 155,692円
15歳 261,239円 178,490円

← 表は横にスクロールできます →

0歳から14歳までを単純に足すと、平均値ベースで 約194万円、中央値ベースで 約109万円 になります。

ここ、正直に言っておきます。この足し算は乱暴です。各年齢の中央値を足しても「中央的な1頭の生涯合計」にはなりません(毎年きっちり中央値の犬なんて存在しないので)。あくまで規模感をつかむための計算です。

別の調査だと、もっと安い

ここで面白いことが起きます。ペットフード協会の令和7年 全国犬猫飼育実態調査では、犬1頭飼育者が「獣医にかかる医療費」として答えた年間金額は、全体平均で 60,423円。13歳以上でも 108,823円 です。

アニコムのデータでは13歳の平均が234,401円。倍以上ちがいます。

この食い違いは、それ自体が答えです。理由はおそらく3つ。

  • アニコムは保険契約者のデータ。保険があると「とりあえず診てもらおう」が起きます
  • ペットフード協会は自己申告アンケート。記憶ベースなので低めに出やすい
  • アニコムは「請求のあった個体」を集計しているので、まったく病院に行かなかった犬が母数に入っていない可能性があります

つまり「保険に入っていない犬の医療費」は、アニコムの数字より低い。逆に言えば、保険に入ると医療費(自己負担+保険金)そのものが増える面がある。これは保険不要論の側に有利な事実なので、ちゃんと書いておきます。

ちなみにペットフード協会は、犬の生涯必要経費(医療費を含む全支出)を 2,784,190円(平均寿命14.82歳で算出)と出しています。超小型犬は3,002,239円、小型犬2,582,402円、中・大型犬2,775,565円。医療費だけの話ではなく、犬を飼うこと自体がだいたい280万円だという数字です。

結論:この主張は「条件つきで正しい」

貯金で足りるかどうかは、次の1点に尽きます。

110万円前後を、犬の医療費専用の別口座に、他の用途と混ぜずに置いておけるか。

置けるなら、中央値の世界では足ります。置けないなら足りません。「貯金で足りる」と言う人の多くは、実はこの別枠を作っていません。同じ口座にあると、車検や引っ越しで消えます。

そして、平均194万円という数字が意味するのは「一部の犬に大きな金額が集中している」ということです。保険は平均を買う商品ではなく、この上振れを避ける商品です。


主張2「手術なんてめったにしない」を検証する

これは前半生については、かなり当たっています。

アニコムの年齢帯別データを見てください。

年齢帯 年間診療費 平均値 年間診療費 中央値
0〜4歳 52,613円 21,860円
5〜9歳 88,362円 39,358円
10歳以上 172,742円 99,346円

← 表は横にスクロールできます →

0〜4歳の中央値は年21,860円。月にすると1,800円ちょっとです。この時期だけを見れば、70%プランの保険料(小型犬で月3,090円)のほうが高い。「めったにかからない」は事実です。

問題は、10歳以上で中央値が99,346円まで上がること。0〜4歳の4.5倍です。

何にかかっているのか

白書には、犬の診療費を疾患の大分類で割った内訳も載っています(金額ベース)。

疾患区分 診療費に占める割合
皮膚疾患 16.7%
消化器疾患 12.1%
肝・胆・膵の疾患 8.9%
筋骨格疾患 8.7%
循環器疾患 8.5%
全身性の疾患 6.6%
耳の疾患 6.1%
泌尿器疾患 5.9%

← 表は横にスクロールできます →

「手術」で想像するような大きい話より、皮膚と消化器が上位に来ます。請求の件数で見ると、消化器疾患25.6%、皮膚疾患24.8%、耳の疾患15.4%(対象741,919頭、0〜12歳)。つまり日常的なのは、皮膚がかゆい・吐いた下痢した・耳が汚い、です。

そして高齢期になると、金額の大きい病気が出てきます。10歳以上で請求割合の高い傷病と、その年間診療費がこちら。

傷病名(10歳以上) 年間診療費 平均 年間診療費 中央値 請求割合
嘔吐/下痢/血便(原因未定) 30,376円 13,409円 13.1%
弁膜症 156,244円 101,981円 8.8%
胃炎/胃腸炎/腸炎 33,425円 14,663円 8.6%
歯周病/歯肉炎 66,372円 48,358円 5.5%
胆泥症 104,598円 63,118円 2.8%

← 表は横にスクロールできます →

弁膜症が効いています。中央値でも年10万円。しかも心臓の病気は治って終わりではなく、毎年続きます。ここが「1回いくら」の発想だと見落とすところでした。

結論:この主張は「前半で正しく、後半で崩れる」

若いうちは本当にかかりません。かかるのは高齢期です。

ただし、その高齢期に新しく保険に入ることはできません。ここが厄介なところで、主張4につながります。


主張3「手術しても数万円で済む」を検証する

ここで日本獣医師会の調査の出番です。

公益社団法人 日本獣医師会「家庭飼育動物(犬・猫)の診療料金実態調査(平成27年度)調査結果」
公益社団法人 日本獣医師会「家庭飼育動物(犬・猫)の診療料金実態調査(平成27年度)調査結果」(jvma-vet.jp・2026-10-12時点の画面)

日本獣医師会は「家庭飼育動物(犬・猫)の診療料金実態調査」を公表しています。平成26年度に実施し、獣医師1,365名と一般飼育者3,096名から回答を得たもの。同会の資料によると、その前身にあたる調査は平成10年に実施され、平成11年8月に報告書が公表されて以来、約15年ぶりの調査でした。

この調査、手術料をこう聞いています。

麻酔料は含めず、犬では体重10kgでの料金をお知らせください

ここ、大事です。手術料に麻酔料は入っていません。

わたしはこの1行を見つけるのに、けっこう時間を使いました。「椎間板ヘルニアの手術は8万円くらい」という書き方をしている記事を何度も見ましたが、その8万円は麻酔も検査も入院も入っていない金額です。

手術料の中央値(犬・体重10kg・麻酔料を含まず)

手術 中央値 「対応外」と答えた施設
眼瞼腫瘍切除 20,898円 7.6%
眼瞼内反 22,868円 16.2%
チェリーアイ 22,256円 8.6%
唾液腺切除 33,948円 29.0%
垂直耳道切除 34,688円 36.1%
胃切開 38,129円 4.5%
腸切開 38,750円 4.5%
気管虚脱 41,000円 73.0%
断脚(前肢) 44,235円 12.7%
膝蓋骨脱臼 45,309円 31.1%
全耳道切除・鼓室胞切開 47,062円 52.4%
横隔膜ヘルニア 47,259円 18.0%
前十字靭帯断裂(関節外法) 47,984円 43.0%
胃切除 50,000円 39.7%
肺葉切除 64,948円 63.2%
椎間板ヘルニア(片側椎弓切除) 76,108円 60.2%
椎間板ヘルニア(椎弓切除) 78,711円 66.5%
環軸亜脱臼 81,818円 76.3%
椎間板ヘルニア(ベントラルスロット) 88,929円 74.4%

← 表は横にスクロールできます →

右端の「対応外」の列に注目してください。椎間板ヘルニアの手術は、回答した施設の6〜7割が「対応外」と答えています。つまり、かかりつけでは受けられず、二次診療施設を紹介されるのが普通ということ。

そして二次診療施設の料金は、この調査の対象ではありません。この表は一次診療の中央値であって、大学病院や高度医療センターの見積りではない。 ここは正直に留保します。

「手術費用」は手術料だけではない

同じ調査から、手術以外の項目も拾ってみます。

項目 中央値
初診料 1,386円
再診料 726円
時間外診療(平日) 2,324円
時間外診療(深夜) 4,513円
入院料(犬・小型/1日) 2,729円
入院料(犬・中型/1日) 3,491円
入院料(犬・大型/1日) 4,201円
入院料(ICU/1日) 3,788円
エックス線検査(単純撮影) 3,931円
エックス線検査(脊髄造影) 10,986円
超音波検査(心エコー) 3,698円
超音波検査(腹部エコー) 3,204円
心電図検査 2,521円
ホルター心電計 10,645円
ACTH刺激試験 8,846円
血圧測定 1,139円
診断書 1,983円

← 表は横にスクロールできます →

これを積み上げると、こうなります。

「手術費用8万円」で終わらない理由 手術料 76,108円 椎間板ヘルニア・片側椎弓切除 + 麻酔料 別建て 調査は手術料に含めていない + 検査 脊髄造影 10,986円 X線 3,931円 入院料(小型犬) 2,729円 × 日数 7日なら約19,000円 診察料・その他 初診1,386円/再診726円 術後の通院・投薬が続くことも 出典:日本獣医師会「家庭飼育動物(犬・猫)の診療料金実態調査(平成27年度)」の中央値を積み上げたもの。見積りではありません

手術料76,108円に、脊髄造影10,986円、X線3,931円、入院7日で19,103円、初診1,386円を足すと、麻酔料抜きでもう 111,514円。ここに麻酔料が乗ります。

もう一度書きますが、これは中央値を積み上げた計算であって、どこかの病院の見積りではありません。実際の金額は、犬の体重、施設、術式、術後の経過で変わります。かかる病院に聞くのが唯一の正解です。

結論:この主張は「手術料だけを見ると誤解する」

「数万円で済む」は、手術料の中央値だけを見れば正しい。総額で見ると、桁がひとつ動くわけではないけれど、確実に2倍前後になります。


主張4「年を取ると保険料が上がって続かない」を検証する

これは正しいです。会社も公式に認めています。

アニコム損保の保険料ページには、こう書かれています。

基本保険料はどうぶつの年齢が20歳になるまで、原則、ご継続の時点で毎年上がります

隠していません。むしろ明記しています。問題は「どれくらい上がるか」です。

実際の保険料表(2026-08-19時点)

第一アイペット損保「うちの子」の公式保険料表から、犬A(チワワ、トイ・プードル、柴犬などの小型犬)の月払保険料を並べます。

第一アイペット損害保険株式会社「ペット保険「うちの子」の保険料・割引・特約」
第一アイペット損害保険株式会社「ペット保険「うちの子」の保険料・割引・特約」(ipet-ins.com・2026-10-12時点の画面)
年齢 30%プラン 50%プラン 70%プラン
0〜2歳 1,840円 2,480円 3,090円
3歳 2,010円 2,750円 3,490円
5歳 2,370円 3,340円 4,310円
7歳 2,750円 3,980円 5,190円
9歳 3,150円 4,800円 6,330円
10歳 3,450円 5,270円 6,990円
11歳 3,760円 5,800円 7,720円
12歳以上 4,130円 6,360円 8,510円

← 表は横にスクロールできます →

70%プランで3,090円→8,510円。約2.8倍です。

大型犬(犬C:ゴールデン・レトリーバー、ラブラドールなど)はもっと動きます。

年齢 犬A(小型)70% 犬B(中型)70% 犬C(大型)70%
0〜2歳 3,090円 3,660円 4,990円
7歳 5,190円 5,490円 9,020円
12歳以上 8,510円 9,950円 15,650円

← 表は横にスクロールできます →

大型犬は12歳以上で月15,650円。年に18万7,800円です。

ただ、正直な感想を書くと、想像していたほど暴力的ではありませんでした。「毎年上がる」と聞くと5倍10倍を想像しますが、実際は2.8〜3.1倍。そしてこの会社の場合、12歳以降は一律になります。「犬は12歳以降、猫は9歳以降、保険料が一律になるため、終身で継続しやすい」と公式ページに書かれていました。

生涯でいくら払うのか

0歳から14歳まで(15年間)払い続けた場合の総額を、上の表から計算します。

プラン 生涯保険料の概算
犬A・30%プラン 約52万円
犬A・50%プラン 約76万円
犬A・70%プラン 約100万円
犬C・70%プラン 約175万円

← 表は横にスクロールできます →

小型犬の70%プランで、ちょうど100万円くらい。さっき出した「生涯診療費の中央値 約109万円」とほぼ同じ額です。ここ、けっこう驚きました。

なおアニコム損保の「どうぶつ健保ふぁみりぃ」は、年齢による動き方が少し違います。公式の保険料表で確認したところ、70%プランのAクラス(小型犬相当)で、0歳が月3,270円、1歳が3,110円、2歳が3,160円、3歳が3,360円。1歳でいったん下がってから上がっていくという設計でした。会社ごとに考え方が違います。

結論:この主張は「正しい。ただし想像よりは緩やか」

上がります。それは事実。でも「途中で払えなくなる」ほど上がるかは、プラン次第です。70%が苦しくなったら50%や30%へ、という逃げ道を最初から想定しておくといいと思います。


主張5「結局、払った分は戻らない」を検証する

一番おもしろかったのがここです。

平均で見るか、中央値で見るか

15年間(0〜14歳)で見た、払う額と かかる額 生涯保険料 小型犬・70%プラン 約100万円 生涯診療費 中央値ベース 約109万円 生涯診療費 平均値ベース 約194万円 保険料は第一アイペット「うちの子」公式保険料表、診療費はアニコム『家庭どうぶつ白書2025』の年齢別値を単純合計した概算

70%プランに0歳から入った小型犬で考えます。

中央値の世界(ふつうの犬) 生涯診療費 約109万円 × 70% = 約76万円が保険から出る計算。払う保険料は約100万円。24万円の持ち出しです。

平均値の世界(高額な子も含めた全体) 生涯診療費 約194万円 × 70% = 約136万円。払う保険料は約100万円。36万円のプラス。

同じ商品なのに、見る指標で符号が逆になります。

これは保険が「損」だという話ではなくて、保険とはそういう構造の商品だという話です。多数派は払い損になり、少数派が大きく助かる。だから成り立っています。医療保険も火災保険も同じです。

上限があることも忘れずに

しかも、上の計算は保険が診療費の70%を無制限に払う前提です。実際は上限があります。第一アイペット「うちの子」の公式ページで確認した支払限度がこちら。

項目 30%プラン 50%プラン 70%プラン
通院 9,000円/日・年22日まで 12,000円/日・年22日まで 12,000円/日・年22日まで
入院 9,000円/日・年22日まで 12,000円/日・年22日まで 30,000円/日・年22日まで
手術 40,000円/回・年2回まで 100,000円/回・年2回まで 150,000円/回・年2回まで
年間補償限度額 47.6万円 72.8万円 122.4万円

← 表は横にスクロールできます →

楽天損保「ペット保険2020」の重要事項説明書でも、通院つき70%プランで手術15万円(年3回)、入院15,000円/日(年25日)、通院15,000円/日(年22日)と設定されていました。

つまり、保険に入っていても青天井では出ません。日額を超えた分、回数を超えた分は自己負担です。「保険があるから貯金はいらない」は成り立ちません。

結論:この主張は「中央値で見れば正しい」

払った分は、たいていの人には戻りません。それが保険です。

戻ることを期待して入る商品ではなく、戻らないことを願って入る商品だ、と考えるほうが実態に近いと思います。


補足:保険が「使えない」と言われる4つの穴

これがいちばん根が深い主張です。そして、かなり当たっています。

保険が使えない穴は、大きく4つありました。

穴1:待機期間

契約が始まっても、すぐには使えません。

会社・商品 待機期間
アニコム損保 どうぶつ健保ふぁみりぃ 契約始期日から30日間(この期間に発症した病気は対象外)
ペット&ファミリー損保 げんきナンバーわんスリム 病気30日以内/がん90日以内
第一アイペット うちの子・うちの子ライト 待機期間なし(ただし別途、引受審査期間あり)

← 表は横にスクロールできます →

第一アイペットの解説によれば、待機期間中に発症した病気は待機期間が終わったあとも生涯を通して補償対象外になります。ケガは、完治していれば補償開始後に再発しても対象になるとのこと。病気とケガで扱いが違うんですね。ここ、分かりにくいと思いました。

がんだけ90日という設定も、言われてみれば理屈は分かるのですが、初見だと気づきません。

穴2:既往症・特定傷病の除外

アニコム損保の「どうぶつ健保ふぁみりぃ」は、悪性腫瘍・慢性腎不全・糖尿病など14の指定疾病に罹患している場合は引受不可。それ以外の治療中・経過観察中の病気については「特定傷病除外特約」でその病気だけ対象外にする扱いがあると説明されています。

つまり、病気になってから入っても、その病気には使えない。当たり前と言えば当たり前ですが、「うちの子が病気になったから入ろう」は成立しません。

穴3:支払限度額と限度日数の壁

主要4商品を並べます(すべて70%プラン、2026-08-18時点の公表値)。

アニコム ふぁみりぃ 第一アイペット うちの子 FPC フリーペットほけん P&F げんきナンバーわんスリム
通院1日上限 14,000円 12,000円 12,500円 上限なし
通院の日数制限 年20日 年22日 年30日 回数制限なし
入院1日/1入院上限 1日14,000円 1日30,000円 1入院125,000円 上限なし
入院の制限 年20日 年22日 年3入院 回数制限なし
手術1回上限 140,000円 150,000円 100,000円 上限なし
手術の回数制限 年2回 年2回 年1回 回数制限なし
年間補償限度 (下記の試算参照) 122.4万円 85万円 70万円
免責金額 設定なし 設定なし 設定なし 1日5,000円
新規加入年齢 7歳11か月まで 7歳11か月まで(30%プランは12歳11か月まで) 9歳未満 生後45日〜満7歳

← 表は横にスクロールできます →

アニコムの「ふぁみりぃ」は年間限度総額の記載を見つけられませんでしたが、公表されている上限から計算すると、通院14,000円×20日+入院14,000円×20日+手術140,000円×2回で 年間840,000円 が理屈上の天井になります(今回調べた範囲での試算です。実際の適用は約款によります)。

注目してほしいのはげんきナンバーわんスリムの設計。1日あたりの限度も回数制限もない代わりに、1日5,000円の免責金額(自己負担)があり、年間限度が70万円。通院1回3,000円の治療なら1円も出ませんが、1日20万円の手術なら19万5,000円の70%が出る。通院を捨てて大きい出費に絞った設計です。

ここ、面白いと思いました。「保険が使えない」と言う人の多くは通院型の商品を想定していますが、設計思想がまったく違う商品も売られています。

穴4:そもそも補償対象外のもの

げんきナンバーわんスリムのページに列挙されていた対象外の例です。他社もおおむね似ています。

  • 予防接種・健康診断
  • 避妊手術・去勢手術
  • 美容整形(歯列矯正を含む)
  • 鍼灸・温泉療法などの代替医療
  • ノミ・ダニ駆除費用
  • ペットホテル料金
  • 交配・妊娠・出産に関するもの

判定:かなり正しい。 ただし、これらはすべて公式サイトに書いてあります。「使えなかった」の多くは、読まずに入った結果です。重要事項説明書と約款は、面倒でも契約前に読む価値があります。

保険金が出ないのは、だいたいこの4か所 ① 待機期間 病気は30日 がんは90日 この間の発症は生涯対象外 ② 既往症 指定14疾病は そもそも引受不可 他は特約で個別に除外 ③ 限度額の壁 手術1回10万〜15万 通院は年20〜30日 50万円の手術は満額出ない ④ 対象外 予防接種・健診 避妊去勢・歯列矯正 ノミダニ駆除も対象外 4つとも、公式サイトと重要事項説明書に書いてあります 「使えなかった」の多くは、読まずに入った結果です

ここからが本題:他所があまり書いていない一次情報

ランキングや比較だけなら、いくらでもあります。ここからは、公的資料を読んでいて「これは知らなかった」と思った部分です。

1. 国が「ペット保険料」を物価統計の品目にした

総務省統計局の物価統計室が、令和6年11月15日付で「2025年基準 モデル式の検討『ペット保険料』」という資料を出しています。

これは何かというと、消費者物価指数(CPI)に「ペット保険料」を新しい品目として追加するという検討資料です。火災・地震保険料や自動車保険料と並んで、ペット保険料が国の物価統計に載る。

資料には、こんな記述がありました。

  • ペット保険を提供する会社には損害保険会社と少額短期保険会社があるが、「保険料収入では損害保険会社が全体の8割弱を占めている」
  • 「ペット保険に加入する動物種別の中で7割以上を犬が占める」(脚注でアニコム家庭どうぶつ白書2023をもとに計算とある)
  • 指数に採用するモデル品目の条件は、補償対象「通院・入院・手術」、動物種別は犬、加入年齢1歳、月払い

国の物価統計に載るということは、ペット保険が「一部の人の趣味の支出」ではなく、家計の定番支出として扱われるようになったということです。この変化は、加入すべきかどうかの議論とは別に、知っておいていい事実だと思いました。

2. 「保険会社」と「少額短期保険業者」は、破綻したときの扱いが違う

これはあまり書かれていないので、はっきり書きます。

金融庁のページには、こうあります。

少額短期保険業者その他の保険会社以外の者は、保険契約者保護機構制度の対象ではありません。

損害保険会社が破綻した場合は、損害保険契約者保護機構が資金援助などを行い、契約が継続されるしくみがあります。楽天損保の重要事項説明書にも、「破綻後3か月以内に発生した保険事故による保険金は100%」で補償される、と書かれていました。

一方、少額短期保険業者はこの制度の対象外です。ペット保険は少額短期保険業者が扱っているものも多いので、商品を選ぶときの1つの観点になります。

これは「少額短期はダメ」という話ではありません。少額短期保険業者にも供託金の制度があります。ただ、破綻時のセーフティネットの形が違うことは、比較の観点として押さえておいていい。

3. 重要事項説明書に、驚くほど細かく「出ないもの」が書いてある

楽天損保「ペット保険2020」の重要事項説明書を実際に開いて、補償されないものの一覧を読みました。ここは各社おおむね似ていますが、量に驚きます。

補償の対象外として挙げられていたもの(抜粋):

  • 去勢・避妊および不妊治療
  • 交配・妊娠・出産・早産・帝王切開・流産
  • 歯石除去および乳歯遺残、不正咬合
  • 停留睾丸、臍ヘルニア、肛門腺除去など健康体に施す外科的手術
  • 断耳、断尾、声帯除去および美容整形など傷病の治療を目的としない手術
  • 爪切り、マイクロチップ装着費用
  • 狂犬病予防接種、ワクチン接種、フィラリア予防、ノミ・マダニの寄生予防
  • 健康診断
  • 食物、療法食、サプリメント等の健康食品、獣医師が処方する医薬品以外のもの
  • 特殊シャンプー剤(薬用・医薬品のシャンプーを含む)・イヤークリーナー
  • 診断書等書類作成費用
  • 往診費用、夜間休日等時間外診療費用
  • カウンセリング費用
  • 安楽死、遺体処置、葬儀費用

療法食とサプリメントが出ないというのは、慢性疾患の犬を抱えている家庭にはかなり大きいのではないでしょうか。腎臓や肝臓の療法食は、毎月かかるコストです。

さらに、同じ書面にはこんな条項もありました。ワクチンなどの予防措置を怠った場合、犬パルボウイルス感染症、ジステンパー、パラインフルエンザ、犬伝染性肝炎、アデノウイルス2型感染症、犬コロナウイルス感染症、レプトスピラ症、フィラリア症、狂犬病などについて保険金が支払われない、というものです。

予防をやっていない家庭は、そもそも補償が効かない領域がある。ここは知らないと事故になります。

4. 待機期間中に発症した病気は、生涯対象外になることがある

アニコム損保の解説ページによると、同社では病気の待機期間は30日間。ケガは待機期間なしで補償されます。

そして重要なのがここ。待機期間中に発症した病気は「補償除外疾患」として登録され、その後も補償の対象外になる、と説明されています。

楽天損保の重要事項説明書でも、補償開始は「ケガの場合は契約日から」「病気の場合は契約日を含めて30日経過後(31日目)から」となっていました。

つまり、「なんとなく調子が悪い気がするから、いま入っておこう」は間に合いません。入るなら、元気なうちに入るしかない。 これが保険という商品の一番不便なところです。

5. 更新時に「断られる」ことがある会社と、そうでない会社がある

これは会社差が大きくて、比較の要になります。

楽天損保の重要事項説明書には、こう書かれていました。

更新の際にはすべての契約を対象に更新審査を実施します。更新審査はすべての契約の期間中の疾病の種類・程度および保険金の請求状況などをもとに行います。審査の結果、お引受条件の変更をご提示させていただく場合や、更新をお断りする場合があります

一方、第一アイペット「うちの子」の公式ページには、「前年度にかかった病気によって条件がつかず、原則これまでと同じ補償内容で継続」と書かれています。

同じ「ペット保険」でも、ここは真逆に近い。病気をしたあとも同じ条件で続けられるかは、長く飼うほど効いてくる観点です。パンフレットの表紙ではなく、重要事項説明書の「更新時の取扱について」を読んでください。

6. 相談件数の推移

国民生活センターの「ペット」に関する相談ページでは、PIO-NETに登録された相談件数として、2023年1,492件、2024年1,333件、2025年1,484件、2026年144件(5月31日までの集計)が掲載されていました。

このページには、ペット保険に限定した内訳や個別の相談事例は載っていませんでした。なので「ペット保険のトラブルが急増している」といった書き方はできません。ただ、契約内容に納得できないときの相談先として、消費生活センターという選択肢があることは知っておいていいと思います。


で、どういう人には要らないのか

ここまでの数字をもとに、判断を整理します。

判断のたたき台(正解ではなく、考える順番です) いま犬は何歳ですか 8歳未満 8歳以上 医療費専用の貯蓄が 100万円以上ありますか 多くの商品で新規加入は 7歳11か月まで。実質、貯蓄一択 ある ない 保険なしでも成立 ただし別口座で。 生活費と混ぜないこと 検討の価値あり 貯まるまでの数年だけ、 という入り方もある 加入可能年齢は商品によって異なります。最終的な判断は各社の重要事項説明書でご確認ください

保険が「要らない」と言いやすい人

  • 犬の医療費専用に、100万円以上を別枠で確保できる人。 生活費や旅行費と同じ口座にあるお金は、いざというとき残っていません
  • 高額医療をしない方針が、家族のあいだで一致している人。 「延命的な治療はしない」という考え方は否定されるべきものではありません。ただし、決めるのは元気なうちに、です
  • 複数頭を飼っていて、保険料の合計が貯蓄ペースを落としてしまう人。 3頭で月1万円を保険に払うより、月1万円を貯めたほうが合理的なケースはあります

保険を検討したほうが説明しやすい人

  • 貯蓄がまだ薄い0〜3歳の時期。 アニコムのデータでは0〜4歳の請求上位に「消化管内異物/誤飲」(年間診療費 平均31,246円/中央値15,059円)が入っています。若い犬ほど飲み込みます
  • 「お金の話で治療方針を決めたくない」人。 これは合理性ではなく価値観の問題です。数字では割り切れません
  • 迷っている人。 8歳になった時点で、多くの商品では選択肢そのものが消えます。迷う権利にも期限があります

よくある質問

Q. 「若いうちは入らず、高齢になってから入る」ではだめですか

これができれば理想ですが、制度上ほぼ無理です。

第一アイペット「うちの子」の場合、公式ページによると新規加入は50%・70%プランで犬は7歳11か月まで。30%プランでも12歳11か月まで。楽天損保「ペット保険2020」の重要事項説明書では、契約日時点で満11歳未満(10歳11か月まで)の犬に限る、とされています。アニコム損保の「どうぶつ健保ふぁみりぃ」も7歳11か月まで(その後は原則として終身継続)。

そして年間診療費が本格的に増えるのは10歳以降です。一番必要な時期には、もう入れない。 これが保険不要論に対する、いちばん実務的な反論だと思います。

Q. 一度解約したら、また入れますか

年齢の条件を満たしていれば、新規加入としては可能です。ただし新規加入なので、待機期間がリセットされます。アニコム損保の解説では病気の待機期間は30日で、その間に発症した病気は補償除外疾患として扱われるとありました。

さらに、既往歴があると引受条件がつくことがあります。「保険料が高くなったから一度やめて、また入り直す」は、思ったより不利です。プランを70%から50%や30%に下げるほうが現実的かもしれません。

Q. 健康な犬でも、保険料は上がりますか

上がります。アニコム損保の公式ページには「基本保険料はどうぶつの年齢が20歳になるまで、原則、ご継続の時点で毎年上がります」と明記されています。年齢によるものなので、健康かどうかとは別です。

ただし同社には「健康割増引制度」があり、保険の利用回数に応じて割増引が適用されるとの記載があります。この制度の詳細は商品ページとご契約のしおりで確認してください。

Q. 犬種によって保険料が違うのはなぜですか

保険料表を見ると、体格の区分で分かれています。第一アイペット「うちの子」では犬A(チワワ、トイ・プードル、柴犬など)、犬B(ビーグル、パグなど)、犬C(ゴールデン・レトリーバー、ラブラドールなど)。混血犬は予想体重で分類され、12kg未満が犬A、12〜20kgが犬B、20kg以上が犬Cです。

日本獣医師会の診療料金実態調査でも、入院料は犬の小型2,729円/中型3,491円/大型4,201円/特大4,753円(いずれも1日あたりの中央値)と、体格で差がついていました。体が大きいほど薬も麻酔も入院設備も必要になる、という素直な理由です。

Q. 「窓口精算」ができる保険のほうがいいですか

立て替えが不要なのは、確かに助かります。ただし窓口精算に対応している動物病院は限られるので、かかりつけが対応しているかを先に調べたほうがいいです。対応していなければ、結局は後日請求になります。

Q. 持病がある犬でも入れますか

商品と持病の内容によります。ここは記事で断定できる領域ではありません。各社の告知事項と引受条件を確認したうえで、治療中の病気については主治医の獣医師にも相談してください。楽天損保の重要事項説明書には、「特定疾病不担保特約」「特定部位不担保特約」といった、特定の病気や部位を対象外にする条件をつけたうえで引き受ける場合がある、と書かれていました。


Q. 補償割合は50%と70%、どちらがいいですか

一概には言えません。今回見た範囲では、70%プランのほうが1日あたりや1回あたりの支払限度額も高く設定されていることが多い、という傾向がありました(例:第一アイペット「うちの子」の入院上限は50%プラン12,000円、70%プラン30,000円)。

つまり補償割合の差以上に、限度額の差で受け取り額が変わることがあります。%だけで比べないほうがよさそうです。

判断材料としては、年間補償限度額(FPC 85万円、うちの子70% 122.4万円、げんきスリム70% 70万円)と、自分が想定する最悪ケースの金額を突き合わせるのが分かりやすいと思います。

Q. 免責金額ありの保険は損ですか

損得ではなく、目的が違う商品です。

ペット&ファミリー損保の「げんきナンバーわんスリム」は1日5,000円の免責がある代わりに、1日あたりの支払限度額も回数制限もありません(同社は8歳以上の継続時に免責を5,000円か10,000円から選べるとしています)。

  • 通院を細かくカバーしたい → 免責なし・日額上限ありの商品
  • 大きい出費だけカバーしたい → 免責あり・日額上限なしの商品

どちらが自分の不安に合っているか、で選ぶものだと思います。

Q. 加入率20%は低すぎませんか。日本人はケチなんでしょうか

アニコム損保のページによれば、日本の加入率が約20%なのに対し、海外全般で30〜40%、スウェーデンは50%以上とされています(出典は富士経済の市場調査)。

ただ、これを「日本が遅れている」と読むかは別問題です。国によって獣医療の値段も、公的な仕組みも違います。加入率の高さは、保険の必要性の証明にはなりません。

Q. 動物病院の治療費を事前に知る方法はありますか

いちばん確実なのは、かかりつけの動物病院に直接聞くことです。

制度の話として、獣医師会が診療料金の水準を決めることは独占禁止法上できません(公正取引委員会の相談事例で確認しました)。だから「全国相場」は存在しないんです。ネットに出ている「相場」は、あくまで誰かが集めた事例の集まりです。

日本獣医師会は診療料金の実態調査を継続的に実施し、結果をPDFで公開しています。数字の分布を知りたい人は、そちらを見るのが公的な情報としてはいちばん近いと思います。

まとめ:数字で言えることと、言えないこと

数字で言えたこと

  • 犬の生涯診療費は、中央値でおよそ109万円、平均でおよそ194万円(アニコム『家庭どうぶつ白書2025』の年齢別値を単純合計した概算)
  • 小型犬70%プランの生涯保険料はおよそ100万円(第一アイペット公式保険料表から算出)
  • 中央値の世界では、保険は払い損になる。平均の世界では、保険のほうが得になる
  • 手術料には麻酔料が含まれていない。「手術費用」は手術料だけでは終わらない
  • 保険料は年齢とともに上がる。小型犬70%プランでおよそ2.8倍、大型犬でおよそ3.1倍
  • 8歳を過ぎると、多くの商品で新規加入という選択肢が消える

数字では言えないこと

  • あなたの犬が中央値側になるか、平均を押し上げる側になるか
  • お金の話で治療を諦めたときに、あなたがどう感じるか

「いらない」と言う人が間違っているとは思いませんでした。中央値で見れば、その主張は数字に支えられています。ただ、その人は「上振れを引かなかった人」でもあります。引いた人の声は、あまり表に出てこない。

最後に、実務的なお願いを1つだけ。契約する前に、その会社の重要事項説明書のPDFを開いて、「保険金が支払われない主な場合」と「更新時の取扱について」の2か所だけは読んでください。 パンフレットの表紙には書かれていないことが、そこに全部書いてあります。今回いちばん時間をかけて読んだのも、そこでした。

そして犬の体調や治療方針については、必ずかかりつけの獣医師に相談してください。この記事は費用の話であって、医療の話ではありません。

調べたもと(出典 19件)
  1. 家庭飼育動物(犬・猫)の診療料金実態調査(平成27年度)調査結果公益社団法人 日本獣医師会・確認日 2026-08-19
  2. 小動物診療料金|日本獣医師会公益社団法人 日本獣医師会・確認日 2026-08-19
  3. 家庭飼育動物(犬・猫)の診療料金実態調査及び飼育者意識調査結果のとりまとめにあたって公益社団法人 日本獣医師会・確認日 2026-08-19
  4. アニコム 家庭どうぶつ白書2025アニコム ホールディングス株式会社・確認日 2026-08-19
  5. ペット保険のビッグデータを活用『アニコム 家庭どうぶつ白書2025』発行アニコム ホールディングス株式会社・確認日 2026-08-19
  6. 令和7年 全国犬猫飼育実態調査「犬 飼育・給餌実態と支出」一般社団法人 ペットフード協会・確認日 2026-08-19
  7. ペット保険「うちの子」の保険料・割引・特約第一アイペット損害保険株式会社・確認日 2026-08-19
  8. ペット保険「うちの子」補償内容第一アイペット損害保険株式会社・確認日 2026-08-19
  9. 重要事項説明書(ペット保険2020)契約概要・注意喚起情報楽天損害保険株式会社・確認日 2026-08-19
  10. 保険料・割引|どうぶつ健保ふぁみりぃアニコム損害保険株式会社・確認日 2026-08-19
  11. ペット保険の待機期間って?いつから補償開始?アニコム損害保険株式会社・確認日 2026-08-19
  12. 保険契約者保護機構制度(保険会社のセーフティネット)金融庁・確認日 2026-08-19
  13. 2025年基準 モデル式の検討「ペット保険料」総務省統計局 物価統計室・確認日 2026-08-19
  14. ペット(各種相談の件数や傾向)独立行政法人 国民生活センター・確認日 2026-08-19
  15. 補償内容|ペット保険「どうぶつ健保ふぁみりぃ」アニコム損害保険・確認日 2026-08-18
  16. ペット保険「うちの子」の補償内容第一アイペット損害保険・確認日 2026-08-18
  17. ペット保険の待機期間について第一アイペット損害保険・確認日 2026-08-18
  18. 「フリーペットほけん」商品ページFPC・確認日 2026-08-18
  19. 補償内容「げんきナンバーわんスリム」ペット&ファミリー損害保険・確認日 2026-08-18

価格や条件は変わることがあります。購入前に各公式ページで、体のことはかかりつけの獣医師にご確認ください。 調べ方と広告の扱いは運営者情報・編集方針に書いています。

同じカテゴリの記事