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ドッグフードの「ヒューマングレード」とは|公正競争規約に定義はあるのか
ドッグフードでよく見る「ヒューマングレード」。ペットフード安全法にも表示の公正競争規約にも、この言葉の使用基準はありません。何がルール化されていて何が自由なのか、袋の見方まで一次資料から整理します。

「ヒューマングレード」って書いてあるフード、なんとなく良さそうに見えますよね。でも、その隣に並んでる無印のフードと何がどう違うのか、袋を裏返しても書いていない。
結論から言うと、この言葉には日本の法律にも業界ルールにも「使用基準」がありません。ペットフード安全法にも、表示の公正競争規約にも、定義の条文は置かれていないんです。
つまり「ヒューマングレード」は、書いた人が自分で意味を決めている言葉。だから読むべきは言葉そのものじゃなく、その言葉の下に書いてある説明のほうです。ここを3分で見分けられるようにします。
この記事の目次
袋の表示は、実は3つの層に分かれています 📋
まずここを掴むと、あとが全部ラクになります。ドッグフードの袋に書いてあることは、性質のまったく違う3層が混ざっています。
①は「愛がん動物用飼料の安全性の確保に関する法律」、通称ペットフード安全法。平成21年6月1日から農林水産省と環境省の共管で施行されています(農林水産省)。犬・猫用フードの製造・輸入・販売をする事業者が対象です。
②が今回の主役、ペットフードの表示に関する公正競争規約。景品表示法にもとづいて業界が作り、公正取引委員会と消費者庁長官の認定を受けたルールです(ペットフード公正取引協議会)。
そして「ヒューマングレード」は③にいます。ここが全部です。
公正競争規約は、何を決めていて何を決めていないのか 🦴
規約が決めているのは、大きく「必ず書くこと」と「書き方が縛られる言葉」の2つ。
必ず書くことは9項目です。ペットフード安全法の5項目に、規約が4項目を足した形になっています(ペットフード公正取引協議会)。
| 何を書くか | 中身 | 根拠 |
|---|---|---|
| 商品名 | 犬用か猫用かが分かるように | 安全法+規約 |
| 賞味期限 | アラビア数字で。年月表示なら月末まで | 安全法+規約 |
| 原材料名 | 添加物を含め、原則すべて。使用量の多い順 | 安全法+規約 |
| 原産国名 | 最終加工工程を完了した国 | 安全法+規約 |
| 事業者名・住所 | 製造業者/輸入業者/販売業者などの種別つき | 安全法+規約 |
| 目的 | 総合栄養食・間食・療法食・その他の目的食 | 規約 |
| 内容量 | g、kg、ml、L などで正味量 | 規約 |
| 給与方法 | 年齢や体重に応じた量と回数 | 規約 |
| 成分 | たんぱく質・脂質・粗繊維・灰分・水分を%で | 規約 |
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この9つのどこにも、品質の「等級」を書く欄はありません。ヒューマングレードは、この枠の外側に自由記述として乗っている言葉です。
一方で規約は、特定の言葉については使い方を縛っています。たとえば「ビーフ」「チキン」「まぐろ」といった原材料名。
「ビーフ」、「チキン」、「まぐろ」等特定の原材料をペットフードの内容量の5パーセント以上使用している場合でなければ、当該ペットフードの名称、絵、写真、説明文等に当該原材料を使用している旨の表示をしてはならない。 — ペットフード公正取引協議会「公正競争規約に基づく必要表示事項及び表示制限について」
5%というのは、2kgの袋なら100g以上ということ。パッケージに大きくビーフの写真が載っているなら、最低でもそのくらいは入っている計算になります。逆に言えば、5%でも載せられます。
「受賞」「推奨」も縛られています。
賞を受けた事実又は推奨を受けた事実がないにもかかわらず、賞又は推奨を受けたと誤認されるおそれがある表示はしてはならない。 — 同上
こうやって言葉ごとに基準が置かれているのが規約のやり方です。そしてヒューマングレードは、その一覧に入っていません。
「ヒューマングレード」は、人によって4通りの意味で使われます
ここが一番の落とし穴です。定義がないので、同じ言葉が違う範囲を指しています。
AとDが同じ4文字で売られている。これが「ヒューマングレードって結局なんなの?」のモヤモヤの正体です。
なので判断材料は言葉じゃなくて、AからDのどれなのかが公式サイトで分かるかどうか。ここだけ見れば足ります。
じゃあ書き放題? 景品表示法という歯止めはあります ⚖️
規約に個別の基準がなくても、上位の法律である景品表示法はかかります。
消費者庁は「優良誤認表示」を、商品の品質などについて「実際のものよりも著しく優良であると一般消費者に示す表示」と説明しています。例として挙げられているのが、カシミヤ混用率80%程度のセーターに「カシミヤ100%」と表示するケースです(消費者庁)。
そして効きそうなのが不実証広告規制。
消費者庁は、内容(効果・性能)に関する表示が優良誤認にあたるか判断する必要があるとき、事業者に「表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めることができる」としています。資料が出てこなければ、不当表示として扱われる仕組みです(消費者庁)。
ここが読者にとって意味を持つポイント。メーカー側は、聞かれたら説明できる状態にしておく必要があるんです。だから、公式サイトに工場や原材料の具体的な説明を出しているブランドと、言葉だけのブランクとでは、そもそもの姿勢が違います。
アメリカのAAFCOには、この言葉のガイドラインがあります 🌎
日本と海外で扱いが違うので、ここは分けて理解しておくと混乱しません。
アメリカのAAFCO(全米飼料検査官協会)は、ラベル表示の解説ページで「ヒューマングレード」をこう位置づけています。
"Human-grade" is a marketing term that has specific guidelines set forth by AAFCO. — AAFCO「Labeling & Labeling Requirements」
面白いのは、AAFCO自身がマーケティング用語(marketing term)だと言い切っていることです。そのうえでガイドラインを置いた、という順番。
新基準を伝えるAAFCOのニュースでは、こう書かれています。
all human grade pet food products should be manufactured in accordance with the acceptable regulations for ready-to-eat human food — AAFCO「New Standards for Human Grade Pet Food」
「そのまま食べられる人間の食品」の規制に沿って製造されるべき、というライン。原材料だけでなく製造工程まで含めて人間の食品扱いにしろ、という考え方です。
ここで気をつけたいのが、日本で売られているフードに「ヒューマングレード」と書いてあっても、AAFCOのガイドラインを満たしているという意味ではないこと。日本の規約はこの言葉を扱っていないので、両者は自動でつながりません。海外基準を根拠にしているなら、そう書いてあるはずです。
ちなみに栄養面のほうでは、欧州のFEDIAF(欧州ペットフード工業会連合)が犬猫の栄養ガイドラインを出していて、AAFCOと連携して最新の科学と栄養要求量の情報を共有していると説明しています(FEDIAF)。ただしFEDIAFのガイドラインは栄養素のレベルの話で、原材料の「等級」の話ではありません。ここも混ざりやすいので分けておきます。
メーカーは「ヒューマングレード」をどう説明しているか
言葉に定義がない以上、見るべきは各社の説明文です。公式に書いてある内容を並べてみます(2026-09-10時点)。
| ブランド | 原材料について | 製造について |
|---|---|---|
| PETOKOTO FOODS | 「人間が食べる品質と同じ、新鮮な国産のお肉やお魚、お野菜などをメインに厳選」。チキンミールや4Dミートは不使用と明記 | 「人間の食品をつくる工場でつくることにこだわります」。HACCPを満たし、温度管理・二次殺菌・微生物検査・X線検査を実施と記載 |
| ココグルメ | 「人間の食材を使い手づくり」「全て安全安心なヒューマングレード品質のごはん」 | 「厳しい衛生基準をクリアした食品工場で作る」。獣医師コメントで「人間の食品と同じ基準・設備」と説明 |
| 説明がないブランド | 記載なし | 記載なし |
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上の2つは、原材料だけでなく製造工場まで言及しているタイプ。前の図でいうAに近い書き方です。


大事なのは、この表が「どちらが良い」を決めるものではないということ。同じ言葉の下に、これだけ情報量の差があるという事実を見てほしいんです。うちの子に合うかどうかは、原材料そのものと栄養設計、それと価格で決まります。
持病がある子や療法食を食べている子は、フードを変える前に主治医の獣医師に相談してください。
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ここが一次情報:規約が本当に基準を置いている言葉 📚
「ヒューマングレードには基準がない」で終わると、片手落ちです。規約が実際に踏み込んでいる領域を知っておくと、袋の読み方が一段深くなります。
ペットフード公正取引協議会が公開している不当表示の禁止項目は、こう並んでいます。
- 目的の分類(総合栄養食など)の定義に反する誤認表示
- 使用基準を満たさない特定原材料の表記
- 根拠のない品質表示(「特選」「最高」など)
- 他事業者への科学的根拠のない中傷
- 原産国の誤認表示
- 実績のない受賞・推奨の表記
- 成分・原材料・製造方法の過大表現
- 商品内容が著しく優良と誤認させる表現
- 過大包装
(ペットフード公正取引協議会)
さらに協議会は「表示によく見られるNG集」を出しています。ここがかなり具体的で、読むと業界の実情が見えます。
| よくあるNG表示 | どうしてダメか |
|---|---|
| 「製造元」という表記 | 安全法では「製造業者」「輸入業者」「販売業者」など規定の用語のみ |
| 「腸内環境を整えます」 | 健康維持の範囲を超えると使えない |
| 「免疫力アップ」「抵抗力アップ」 | 本来持っている免疫・抵抗力を「維持する」範囲でのみ可 |
| 缶詰・レトルトの「保存料不使用」 | もともと使わないものを不使用として強調するのは不可 |
| 根拠のない「No.1」 | 合理的な根拠に基づかず事実と異なるものは不当表示 |
| 英文のみの商品名・賞味期限 | 邦文で、外部から見やすい位置に明瞭に記載すること |
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(ペットフード公正取引協議会「表示によく見られるNG集」)
そして薬機法まわり。協議会は「ペットフードにおける薬事表現に関するガイドライン」(令和6年6月改訂版)を公開しています。ペットフードは医薬品ではないので、効能・効果の広告はできません。挙げられているNG例がこちらです。
| NGの型 | 具体例 |
|---|---|
| 病名・症状を書く | 「貧血気味の犬に」 |
| 医薬部外品的な作用 | 「口臭・歯周病菌の原因を除去」 |
| 疾病の原因に触れる | 「体に貯まった有害物質を排出する」 |
| 身体の悪い状態を示す | 「虚弱な胃腸」 |
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(ペットフード公正取引協議会)
ここまで見て気づきませんか。規約が細かく踏み込んでいるのは「効きます」系の表現なんです。一方で「ヒューマングレード」のような品質のグレードを匂わせる言葉は、ほとんど手つかず。この非対称が、今のパッケージ表現の景色を作っています。
もうひとつ、意外と知られていない一次情報。ペットフード安全法には成分規格があって、エトキシキン・BHA・BHTといった添加物、グリホサートなどの農薬、アフラトキシンや重金属、メラミンなどについて上限値がμg/g単位で定められています。犬用と猫用で数値が違う項目もあります(環境省)。
製造方法の基準もあって、有害物質や病原微生物を含む原材料を避けること、微生物を除去するための加熱・乾燥、そして猫用でのプロピレングリコール使用禁止などが定められています(環境省)。
つまり「人間用かどうか」とは別の軸で、犬用フードには犬用の基準がすでにかかっているわけです。ヒューマングレードという言葉は、その上に乗る付加価値の説明であって、下地の基準を置き換えるものではありません。
で、うちの子のフードはどう見ればいい? 🐾
袋と公式サイトを、この順番で見るのが早いです。
4番だけ補足します。給与方法は規約で表示が義務づけられている項目なので、袋に必ず載っています。体重5kgの子で1日100gと書いてあるなら、1kgの袋は10日分。袋の価格ではなく「月いくらか」で並べ直すと、印象がかなり変わります。
あなたがこういう状況なら、こう考えるのが近道です。
- とにかく主食を1つ決めたい → 総合栄養食かどうか、対象のライフステージが合っているかを先に。ヒューマングレードは後回しでいい
- 原材料の素性を知りたい → 公式サイトに産地や工場の説明があるブランドを選ぶ。言葉ではなく説明文の量で判断
- フードにお金をかけられる → 月額に直したうえで、開示情報の厚さと食いつきで比べる
- 持病がある・シニアで数値が気になる → まず主治医に相談。療法食は獣医師の指示のもとで使う前提の区分です
よくある質問
Q. 「ヒューマングレード」と書いてあるフードは、人間が食べられるということ?
日本の表示ルールにはその意味を保証する仕組みがありません。人が食べる用途で流通できるかどうかは食品衛生法の世界の話で、ペットフードの表示とは別の制度です。パッケージの4文字だけでは判断材料になりません。
Q. 「無添加」「ナチュラル」はどうなの?
こちらは規約が使い方を縛っている側の言葉です。たとえば缶詰やレトルトのように、もともと保存料を使わない製品で「保存料不使用」を強調することは、協議会のNG集で不可とされています。何が無添加なのかを併記せずに大きく書くのも避けるべき表現です。
Q. 「総合栄養食」と「ヒューマングレード」は何が違うの?
軸が違います。総合栄養食は規約で定義された区分で、そのフードと水だけで指定の成長段階の健康を維持できる栄養バランス、という意味。ヒューマングレードは原材料や製造の等級の話です。片方があっても、もう片方は保証されません。
Q. 国産と書いてあれば原材料も国産?
原産国名は「最終加工工程を完了した国」を指します。包装や詰め合わせのように、中身に実質的な変更をもたらさない行為は含まれません。つまり原材料の産地とは別の話です。原材料の産地を知りたいなら、メーカーの公式サイトで確認するのが確実です。
Q. パッケージに「特選」「最高級」と書いてあるけど、根拠はあるの?
規約は、根拠のない品質表示を不当表示として禁じています。気になったらメーカーに問い合わせて構いません。景品表示法の仕組み上、事業者は根拠を説明できる状態にしておくことが求められます。
Q. 表示がおかしいと思ったら、どこに言えばいい?
表示ルールを運用しているのはペットフード公正取引協議会です。安全性に関わることであれば、所管の農林水産省・環境省のページから相談先をたどれます。
この記事のまとめ
- 「ヒューマングレード」は、ペットフード安全法にも表示の公正競争規約にも使用基準がない言葉です
- 規約が使い方を縛っているのは「ビーフ」など特定原材料(内容量の5%以上)、受賞・推奨、無添加・ナチュラルといった別の言葉です
- 定義がないぶん、原材料だけを指す場合と製造工場まで含む場合が混在しています。判断は公式サイトの説明文で
- アメリカのAAFCOはこの言葉を「マーケティング用語」としたうえでガイドラインを置いていますが、日本の表示とは自動でつながりません
- 犬用フードには成分規格や製造方法基準がすでにかかっています。ヒューマングレードはその上に乗る付加情報です
次にやること: 今うちの子が食べているフードの袋を1枚だけ手に取って、「総合栄養食」の4文字と、原材料名の最初の3つを確認してみてください。そこが分かれば、あとの宣伝文句はだいぶ読み流せるようになります。フードの切り替えを考えていて、体調や検査値に気がかりがあるときは、先に獣医師に相談してみてください。
調べたもと(出典 16件)
- ペットフードの適正な表示についてペットフード公正取引協議会・確認日 2026-09-10
- 公正競争規約に基づく必要表示事項及び表示制限についてペットフード公正取引協議会・確認日 2026-09-10
- ペットフード安全法に基づく必要表示事項についてペットフード公正取引協議会・確認日 2026-09-10
- 表示に関するQ&Aペットフード公正取引協議会・確認日 2026-09-10
- 表示によく見られるNG集ペットフード公正取引協議会・確認日 2026-09-10
- ペットフードにおける薬事表現に関するガイドラインペットフード公正取引協議会・確認日 2026-09-10
- 公正競争規約ペットフード公正取引協議会・確認日 2026-09-10
- ペットフードの安全関係(ペットフード安全法)農林水産省・確認日 2026-09-10
- ペットフード安全法基準規格等環境省・確認日 2026-09-10
- パンフレット「知って納得!ペットフードの表示」環境省・確認日 2026-09-10
- 表示規制の概要消費者庁・確認日 2026-09-10
- Labeling & Labeling RequirementsAAFCO(米国飼料検査官協会)・確認日 2026-09-10
- New Standards for Human Grade Pet FoodAAFCO(米国飼料検査官協会)・確認日 2026-09-10
- Nutritional GuidelinesFEDIAF(欧州ペットフード工業会連合)・確認日 2026-09-10
- ごはんのこだわりPETOKOTO FOODS・確認日 2026-09-10
- ココグルメ公式サイトココグルメ・確認日 2026-09-10
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