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ドッグフードのカロリー計算|体重別の1日必要量とRER・DERの出し方

愛犬の1日の必要カロリーを、環境省の計算式とWSAVA・FEDIAFの基準から体重別に早見表化。RERとDERの出し方、フードのグラム換算、おやつの上限(10%と20%が併存する理由)まで、公的資料の数字だけで整理しました。

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フードの器と空白の電卓表示のそばに座る小型犬
この画像はAIで生成したイメージです。実在の場所・書類・製品を撮影したものではありません。

フードの袋の裏を見て、「体重5kg → 1日95g」と書いてある。でも同じ5kgでも、うちの子は毎日1時間歩く子で、隣の家の子はほとんど抱っこ。同じ量でいいの? ——ここ、けっこうモヤっとしますよね。

しかも袋を変えたら、同じ体重なのに給与量が違う。どっちが正しいのか分からなくなる。

結論から言うと、袋の数字は「平均的な犬向けの出発点」で、うちの子用の数字は自分で出せます。 計算はぜんぶ足し算とかけ算だけ。電卓で30秒です。

この記事では、環境省のガイドラインに載っている計算式をそのまま使い、体重別の早見表と、グラムへの直し方、そしておやつの上限までつなげます。


この記事の目次
  1. 結論:この3ステップで、うちの子の1日分が出ます 🦴
  2. 体重別・1日の必要カロリー早見表(成犬)
  3. まずRER(安静時のカロリー)
  4. 次にDER(1日に必要なカロリー)
  5. RERとDER、そもそも何が違うの?
  6. 係数はいくつを使えばいい? 散歩の時間で決めます
  7. カロリーをグラムに直す:袋のどこを見ればいい?
  8. おやつは10%? 20%? 数字が2つある理由 🐾
  9. おやつのタイプ別・カロリーの扱いやすさ
  10. 公的資料を並べて分かった、数字のばらつき 📋
  11. 環境省のガイドラインは、途中で計算式を差し替えている
  12. 元になっている「1日あたりの想定」がそもそも違う
  13. 袋にカロリーが書いていないことがある理由
  14. おやつの袋に「10%」と書いていない理由
  15. 1か月やってみて、体重が動かないとき
  16. 減らすときのペース
  17. 増やすときに見るところ
  18. よくある質問 🏥
  19. Q. シニアになったら、量は減らしたほうがいいですか?
  20. Q. 手作りごはんでもこの計算は使えますか?
  21. Q. 1日何回に分ければいいですか?
  22. Q. 水はどれくらい必要ですか?
  23. Q. 「総合栄養食」と書いてあれば、それだけで足りますか?
  24. Q. 給与量表の数字と、自分で計算した数字が違います
  25. この記事のまとめ
  26. 次にやること

結論:この3ステップで、うちの子の1日分が出ます 🦴

先に全体像です。やることは3つだけ。

  1. 理想体重を決める(いまの体重ではありません)
  2. RER(安静時に必要なカロリー)を出す → 体重(kg) × 30 + 70
  3. 係数をかけてDER(1日に必要なカロリー)にする → 避妊去勢済みの成犬なら RER × 1.6

そのあと、フードの袋に書いてある「kcal/100g」で割れば、グラムになります。

1日分のごはんが決まるまで ① 理想体重 いまの体重ではなく BCS3のときの体重 分からなければ獣医師へ ② RER 体重×30+70 寝ているだけで 使うカロリー ③ DER RER×係数 避妊去勢済みの 成犬なら1.6 ④ グラム DER÷kcal×100 袋の「kcal/100g」 を使う 例:5kg・避妊去勢済みの成犬 → RER 220 → DER 352kcal → 360kcal/100gのフードで約98g/日

この式は環境省「飼い主のためのペットフード・ガイドライン」(平成30年12月版)に、そのまま載っているものです。同じ資料に「体重5kgの犬(避妊去勢済み)」の計算例まで書いてあります。

注意点をひとつだけ先に。 使う体重は、いまの体重ではなく理想体重です。太っている子でいまの体重を入れると、太った状態を維持する量が出てしまいます。理想体重はボディコンディションスコア(BCS。見た目と触った感じで体型を5段階または9段階で評価する指標)を参考に決めますが、判断に迷うときはかかりつけの獣医師に相談してください。


選び方の基準

この記事では、いくつかの数字や方法を「こっちから始めるほうが調整しやすい」という形で並べています。何を基準にそう並べたのか、先に開示しておきます。

1. 情報源は、公的機関 → 国際的な業界団体 → メーカー公式の順で優先しました。

優先順位 使ったもの この記事での役割
1 環境省、農林水産省、自治体(栃木県動物愛護指導センター) 計算式の土台、減量ペース、水分量
2 FEDIAF(欧州ペットフード工業会連合)、WSAVA(世界小動物獣医師会) 活動量別の係数、体重別レンジ
3 ペットフード公正取引協議会(規約・施行規則) 表示義務の範囲
4 メーカー公式ページ(ロイヤルカナン ジャポン) 計量方法、おやつ10%の根拠

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個人ブログ・まとめサイト・口コミの数字は使っていません。同じ項目で複数の資料が食い違ったところは、どちらかを削らずに「食い違っている」とそのまま書いています(環境省の旧版と現行版、おやつの10%と20%が代表例です)。

2. 数字を並べる順番は、「調整しやすさ」で決めました。

係数を「1.6より、まずは1.35〜1.4から」と書いているのは、その値が優れているからではありません。足りなければ増やせるが、増やしすぎて太らせた後に戻すほうが時間もリスクもかかる、という理由です。減量については環境省の資料が「本格的なダイエットは獣医師の指導の下で」としているので、そこに入る前の段階で止められる並べ方を採りました。

3. おやつのタイプを比べた表は、この3つの軸だけで見ています。

  • カロリーが袋に書いてあるか(計算に組み込めるか)
  • 1回量を刻めるか(小型犬でも上限内に収まるか)
  • 食べきる量が読めるか(ガムのように残る形だと計算が崩れる)

味の好み、素材の良し悪し、健康効果は評価に入れていません。効果の断定は避けたいですし、この記事の目的は「カロリー管理という一点でどう扱いやすいか」だからです。

4. 掲載順や紹介の有無を、広告料で変えていません。 この記事には楽天市場への検索リンクがあり、そこから購入があるとサイトに収益が入ります。ただしリンクの有無で順番や評価を動かしてはいません。特定の銘柄を1位に据える構成にしていないのも、同じ理由です。

5. すべての数字は2026-09-10時点で確認したものです。 資料は改訂されます。実際に与える量を決めるときは、手元のフードの袋と最新の公式資料を見てください。

そして大前提として、この記事の数値は全部「出発点」です。 持病がある子、シニア、妊娠・授乳中の子は、この計算より獣医師の指示が優先します。


体重別・1日の必要カロリー早見表(成犬)

計算が面倒な人向けに、先に数字を置いておきます。

まずRER(安静時のカロリー)

環境省が示している簡易式(体重×30+70)と、獣医学でよく使われる指数式(70×体重の0.75乗)を並べました。簡易式は体重2〜45kgの範囲で使うもの、と環境省の資料に明記されています。

理想体重 RER(簡易式) RER(指数式)
2kg 130 kcal 118 kcal
3kg 160 kcal 160 kcal
4kg 190 kcal 198 kcal
5kg 220 kcal 234 kcal
6kg 250 kcal 268 kcal
7kg 280 kcal 301 kcal
8kg 310 kcal 333 kcal
10kg 370 kcal 394 kcal
12kg 430 kcal 451 kcal
15kg 520 kcal 534 kcal
20kg 670 kcal 662 kcal
25kg 820 kcal 783 kcal
30kg 970 kcal 897 kcal
40kg 1,270 kcal 1,113 kcal

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小型犬〜中型犬のゾーン(5〜20kg)なら、2つの式の差はせいぜい6%くらい。ドライフードでいえば数グラムです。ここは好きなほうでかまいません。

次にDER(1日に必要なカロリー)

RERに係数をかけたものがDERです。ここでは、欧州ペットフード工業会連合(FEDIAF)が活動量ごとに公表している数値(体重の0.75乗にかける係数)で計算した値を並べます。いちばん右は、世界小動物獣医師会(WSAVA)が公表している成犬の目安レンジです。

理想体重 散歩だけ(1時間未満) 1〜3時間動く よく走る若い子 WSAVA公表レンジ
2kg 160 kcal 185 kcal 219 kcal 140–177 kcal
3kg 217 kcal 251 kcal 296 kcal 190–239 kcal
4kg 269 kcal 311 kcal 368 kcal 240–297 kcal
5kg 318 kcal 368 kcal 435 kcal 280–351 kcal
6kg 364 kcal 422 kcal 498 kcal 320–403 kcal
8kg 452 kcal 523 kcal 618 kcal 400–499 kcal
10kg 534 kcal 619 kcal 731 kcal 470–590 kcal
12kg 612 kcal 709 kcal 838 kcal 540–677 kcal
15kg 724 kcal 838 kcal 991 kcal 640–800 kcal
20kg 898 kcal 1,040 kcal 1,229 kcal 790–993 kcal
25kg 1,062 kcal 1,230 kcal 1,453 kcal 940–1,174 kcal
30kg 1,218 kcal 1,410 kcal 1,666 kcal 1,080–1,346 kcal
40kg 1,511 kcal 1,750 kcal 2,068 kcal 1,340–1,670 kcal

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ぱっと見て気づくと思いますが、同じ体重でも幅がかなり広いです。5kgなら280〜435kcal。上と下で1.5倍以上ちがいます。

これは資料が間違っているわけではなくて、「犬によってこれくらいバラつく」という事実がそのまま表に出ているだけです。FEDIAFの資料にも「1つの式ですべての個体のエネルギー要求量を表すことは不可能」とはっきり書かれています。WSAVAの一覧にも「あくまで目安。犬は個体差があり、理想的な体型を保つために必要なカロリーはこれより多い子も少ない子もいる」と注記があります。

だから、この表はスタート地点として使ってください。本番は、この量で1か月まわしてみて体重がどう動くか、です。


RERとDER、そもそも何が違うの?

用語だけ整理しておきます。

  • RER(Resting Energy Requirement/安静時エネルギー要求量)…気温がちょうどよい部屋で、絶食していない状態で、じっとしているときに使うカロリー。呼吸したり体温を保ったりする分です。
  • DER(Daily Energy Requirement/1日あたりのエネルギー要求量)…そこに、散歩・遊び・成長・避妊去勢の有無などを足したもの。実際にごはんで与える量はこちらです。
RER 体重(kg)×30+70 じっとしている分 ×係数 DER RER×1.6 など 動く分を足した1日分 ÷kcal 1日のフード量 DER÷ME×100 MEは袋のkcal/100g 5kgの成犬(避妊去勢済み)でやってみると 5×30+70=220kcal → 220×1.6=352kcal → 352÷360×100=約98g/日(1回49g×2回)

計算の順番さえ守れば、あとは電卓の作業です。「体重に30をかけて70を足す」は、5kgなら「5×30=150、+70=220」。ここまでは暗算でもいけます。

指数式(70×体重の0.75乗)を使いたい人へ。電卓なら 体重 × 体重 × 体重 = √ √ × 70 で出ます。栃木県動物愛護指導センターのページに、この電卓の押し方がそのまま載っています。


係数はいくつを使えばいい? 散歩の時間で決めます

いちばん迷うのが係数です。ここを1.4にするか1.8にするかで、5kgの子なら1日88kcalも変わってしまいます。ジャーキー数本分です。

環境省の資料が数字を明記しているのは、「避妊去勢済みの犬=1.6」という計算例だけ。あとは「係数は、成長段階や活動量によって変わります。詳しくは獣医師に相談しましょう」と書かれています。つまり公的資料は、細かい係数表までは示していません。

そこで、活動量ごとの数字がきちんと表になっているFEDIAFのガイドラインを使うと、こう分けられます。

動く時間で、必要カロリーはこう変わる (体重の0.75乗 1あたりのkcal/FEDIAFの区分) 95 散歩1時間未満 110 1〜3時間 ふつうの散歩 125 1〜3時間 よく走る・遊ぶ 150〜175 1日3〜6時間 牧羊犬などの使役犬 太りやすい体質の成犬は「90以下」という区分も別に置かれています

年齢で分ける表もあります。同じFEDIAFの資料に「1〜2歳=130/3〜7歳=110/7歳超のシニア=95」という区分が載っています。ただしこちらにも「これは出発点にすぎず、実際に必要な量は活動量・環境・犬種・気質・被毛・体型・病気で大きく左右される」と注が付いています。

で、都内のマンションで暮らしている子はどれ?

「朝晩20分ずつの散歩、あとは家でのんびり」なら、いちばん左の区分(95)に近いはずです。RER×係数の言い方に直すと、だいたい1.35〜1.4倍くらい。環境省の例の1.6より控えめです。

逆に、休みの日にドッグランで走り回る、毎日1時間以上歩く、という子なら1.6前後が合ってきます。

どちらか迷ったら、低いほうから始めるのが調整しやすいです。 足りなければ増やせばいい。多すぎて太ったあとに減らすほうが、ずっと大変ですから。


カロリーをグラムに直す:袋のどこを見ればいい?

DERが出たら、最後はグラムです。式はこれだけ。

1日のフード量(g)= DER ÷ 100gあたりのkcal × 100

問題は「100gあたりのkcal」をどこで見るか。パッケージには「代謝エネルギー(ME)」「エネルギー」「カロリー」などの名前で書かれています。単位が kcal/100g のことも kcal/kg のこともあるので、そこだけ気をつけてください。kcal/kgなら10で割れば100gあたりになります。

5kgの子(DER 352kcal)で、フードのカロリーだけ変えて計算してみます。

フードのカロリー 1日のフード量 1回分(1日2回)
320 kcal/100g 110 g 55 g
350 kcal/100g 101 g 50 g
380 kcal/100g 93 g 46 g
400 kcal/100g 88 g 44 g

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同じ犬なのに、フードを変えるだけで1日88g〜110g。22gも違います。 「フードを変えたら太った/痩せた」がよく起きるのは、たいていこれが原因です。袋を変えたら、グラムも計算し直してください。

ちなみにロイヤルカナン ジャポンの公式ページでも、給与表について「推奨給与量は多くの場合、単なるガイドライン」としたうえで、毎回はかりで計量することを勧めています。実際の給与量は少なく見積もりがち、というのがその理由です。

ロイヤルカナン ジャポンの公式ページ
ロイヤルカナン ジャポンの公式ページ(royalcanin.com・2026-10-12時点の画面)

子犬の場合は、そもそも体重が毎週変わるので計算式より給与量表のほうが実用的です。ロイヤルカナンの子犬用フードの表は「いまの月齢」×「成犬時の予想体重」のクロスで読む形式になっていて、公式FAQに読み方の手順が図で出ています。

ロイヤルカナンの公式FAQ
ロイヤルカナンの公式FAQ(faq.royalcanin.jp・2026-10-12時点の画面)

計量は、目分量よりデジタルスケールのほうが安定します。1g単位で十分です。キッチンスケール デジタル 1gを楽天で探す


おやつは10%? 20%? 数字が2つある理由 🐾

「おやつは1日のカロリーの10%まで」——よく聞きますよね。実はこれ、日本の公的資料だと20%と書かれています。

環境省のガイドライン(平成30年12月版)には、こうあります。

おやつは一日に必要なエネルギー量の20%以内を目安にし、また、与えた分だけ主要な食事の量も減らすようにしましょう。

一方、ロイヤルカナン ジャポンの公式ページには「トリーツは犬の1日の食事量の10%を越えないようにすべき」と書かれています。

どちらが正しい、という話ではありません。 20%は「これを超えると栄養バランスが崩れやすい」という上限寄りの線、10%は「余裕を持たせた安全側の線」と読むのが自然です。持病がある子や太りぎみの子は、低いほうに寄せておくと調整が楽になります。判断に迷うときは、かかりつけの獣医師に相談してください。

5kgの成犬(1日352kcal)の場合 おやつ10%なら 35kcal ごはん 317kcal おやつ20%なら 70kcal ごはん 282kcal 大事なのは、おやつを足したら同じだけごはんを減らすこと。 上乗せしたままだと、そのぶんがまるごとカロリーオーバーになります。

体重別に、おやつの上限を出しておきます(DERは「1〜3時間動く」区分で計算)。

理想体重 1日のDER おやつ10% おやつ20% 1本10kcalのジャーキーなら
3kg 251 kcal 25 kcal 50 kcal 2.5〜5本
5kg 368 kcal 37 kcal 74 kcal 3.7〜7本
8kg 523 kcal 52 kcal 105 kcal 5〜10本
10kg 619 kcal 62 kcal 124 kcal 6〜12本
15kg 838 kcal 84 kcal 168 kcal 8〜17本
20kg 1,040 kcal 104 kcal 208 kcal 10〜21本

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3kgのチワワで、1本10kcalのジャーキーが1日2〜3本。ぶっちゃけ、けっこう少ないですよね。ここで効いてくるのが、「与えた分だけごはんを減らす」という後半のルールです。環境省の資料も、10%ルールを掲げているメーカーも、そろってこの点に触れています。

おやつのタイプ別・カロリーの扱いやすさ

前の章の選定基準どおり、ここは「カロリー表示があるか」「1回量を刻めるか」「食べきる量が読めるか」の3つだけで見ています。味の好みや素材の良し悪しは入れていません。

タイプ カロリー表示 調整のしやすさ 気をつけたいところ
普段のフードの粒 袋に記載あり かなり楽(1日分から取り分けるだけ) 目新しさがないので反応が薄い子も
ジャーキー・ささみ乾燥品 商品による 1本が何kcalか分かれば計算しやすい 1本が大きいと小型犬には過剰になりがち
ビスケット・クッキー類 商品による 枚数で管理しやすい 糖質が多めのものがある
フリーズドライ・野菜チップ 商品による 軽いので量の感覚がつかみにくい 「軽い=低カロリー」とはかぎらない
ガム・蹄など長持ち系 表示がないことも 全部食べきる前提で計算しにくい かけら状になったときの誤飲に注意

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この3軸でいちばん扱いやすいのは、1日のフードから何粒か取り分けて、それをごほうびにする方法です。ロイヤルカナンの公式ページでもこの方法が紹介されています。カロリーが増えないので、計算がまったく狂いません。

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公的資料を並べて分かった、数字のばらつき 📋

ここからが、この記事でいちばん書きたかったところです。

犬のカロリー計算は「正解が1つある」ように語られがちですが、公的な資料を並べると、同じ体重の同じ成犬に対して、けっこう違う数字が出てきます。 しかも、同じ環境省の資料でも版によって式が変わっています。

環境省のガイドラインは、途中で計算式を差し替えている

  • 平成21年10月(第二版)…犬の必要カロリー=体重の0.75乗 × 係数(離乳期274/成犬中期200/成犬期132)。巻末に体重別の一覧表があり、5kgの成犬は441kcal、10kgは742kcalと書かれています。
  • 平成30年12月版…RER=体重×30+70/DER=RER×係数という2段階の式に変更。5kgの避妊去勢済みの犬の計算例は352kcal。旧版にあった体重別の一覧表は載っていません。

同じ5kgの成犬で、441kcalと352kcal。差は89kcalです。360kcal/100gのドライフードなら、約25gぶん。1本10kcalのジャーキーなら約9本ぶんです。

「5kgの成犬の1日分」は資料でこれだけ違う 環境省 2009年版 441 環境省 2018年版 352 FEDIAF 標準(110) 368 FEDIAF 低活動(95) 318 WSAVA レンジ 280〜351 0 450 kcal

元になっている「1日あたりの想定」がそもそも違う

FEDIAFのガイドラインには、この食い違いの理由がはっきり書かれています。要約するとこうです。

  • NRC(米国学術研究会議)2006年の成犬維持エネルギーは 130kcal × 体重の0.75乗。これは「実験施設の犬、または活発な飼い犬」で観察された平均摂取量。
  • ところが、1頭飼いの家庭犬(リードでの散歩など低強度の運動が1日1時間未満)を調べた研究では、平均摂取量は 94〜105kcal × 体重の0.75乗だった。
  • そこでFEDIAFは、標準を 110、低活動の成犬向けに 95 という2本立てにしている。

環境省の2009年版が使っていた「成犬期132」は、NRCの130にほぼ一致します。つまりあの表は、よく動く犬を想定した数字だったわけです。

そして日本の飼育実態はというと、2025年の全国犬猫飼育実態調査(ペットフード協会)で、犬の飼育頭数は約682万頭、世帯飼育率は8.50%。単身世帯の飼育率は5.26%で、1世帯あたりの平均飼育頭数は1.36頭。都市部の室内飼育が中心という前提に立つなら、「130寄り」より「95〜110寄り」のほうが実感に近いはずです。

ひとつ補足しておくと、WSAVAが公表している体重別の一覧は、脚注に「参照した計算式:NRC 2006/活発な成犬 130×体重の0.75乗、不活発な成犬 95×体重の0.75乗」と書かれていますが、表に並んでいる数字はその式に当てはめた値より控えめです(5kgなら318〜435に対して、表は280〜351)。数字を引用するときは、式のほうか表のほうか、どちらを使ったのかを意識しておくと混乱しません。

袋にカロリーが書いていないことがある理由

これも意外と知られていません。

日本のペットフードの表示は、ペットフード安全法(愛がん動物用飼料の安全性の確保に関する法律/農林水産省・環境省の共管)と、ペットフードの表示に関する公正競争規約の2階建てになっています。

安全法で義務なのは5項目(名称/賞味期限/原材料名/原産国名/事業者名と住所)。公正競争規約はさらに4項目を足して、必要表示事項を9項目にしています(規約第4条)。

表示項目 根拠
名称 ペットフード安全法
賞味期限 ペットフード安全法
原材料名 ペットフード安全法
原産国名 ペットフード安全法
事業者名・住所 ペットフード安全法
目的(総合栄養食・間食・療法食・その他の目的食) 公正競争規約 第4条
内容量 公正競争規約 第4条
給与方法 公正競争規約 第4条
成分 公正競争規約 第4条

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ポイントは「成分」の中身です。施行規則第3条(6)で決められているのは、この5つだけ。

たんぱく質 …%以上/脂質 …%以上/粗繊維 …%以下/灰分 …%以下/水分 …%以下

カロリー(代謝エネルギー)は、この必要表示事項に入っていません。 多くのメーカーが自主的に載せていますが、義務ではないんです。環境省のガイドラインでも「多くのフードではカロリー(kcal/kg)も表示されています」という書き方にとどまっています。

だから、袋にkcalが見当たらないフードは実在します。その場合はメーカーに問い合わせるか、カロリーが明記されている製品を選ぶかの二択になります。

ペットフード公正取引協議会の公式サイト
ペットフード公正取引協議会の公式サイト(pffta.org・2026-10-12時点の画面)

おやつの袋に「10%」と書いていない理由

もうひとつ。施行規則第3条(4)は、目的別に「給与方法」として何を書くかを定めています。

  • 総合栄養食…成長段階、体重、給与回数及び給与量
  • 間食…必要とされる栄養、栄養バランスに支障を与えないための給与限度量(必要に応じて給与回数や与え方も)
  • 療法食…体重、給与回数及び給与量、獣医師の指導に基づいて給与すべき旨の注意書き
  • その他の目的食…給与の仕方及び給与量

つまり、おやつの袋に書いてあるのは「1日のカロリーの10%まで」ではなく、「1日◯個まで」という個数や本数の上限です。これが「給与限度量」。%で書く決まりにはなっていません。

だから、袋の「1日2本まで」と、自分で計算した「37kcalまで」の2つを照らし合わせる作業が必要になります。両方見て、少ないほうを採用しておくと外しにくいです。


1か月やってみて、体重が動かないとき

計算はあくまで出発点、という話をしてきました。ここからが本番です。

週1回、体重をはかる 1か月ぶん記録してから判断 増えていた まず係数を下げる おやつを見直す 家族の「こっそり」も確認 変わらない その量が正解 季節と年齢で再チェック フードを変えたら計算し直す 減っていた 係数を上げてみる 食べ残しの量も見る 続くようなら獣医師に相談 体重を抱いて体重計に乗り、あとで人の体重を引く方法が手軽です

環境省の資料では、体重測定は週1回程度が目安とされ、犬を抱いて体重計に乗って、あとから人の体重を引く方法が紹介されています。小型犬なら1kg単位の体重計だと変化が見えにくいので、0.1kg単位で表示される体重計があると変化を追いやすくなります。

減らすときのペース

太りぎみで減らしたい場合、環境省のガイドライン(平成21年版)にはこう書かれています。

  • 軽度〜中等度の肥満なら、与えるフードの量を通常の30〜40%減らして体重の変化をチェックする
  • 減量のペースは1週間で体重の1〜3%が適当
  • 空腹感をやわらげるため、1日量を3〜4回に分けて与える
  • 40%以上減らす急激なダイエットは、体に悪い影響を与える危険がある

そして「本格的なダイエットは、獣医師の指導の下で行う必要がある」とも明記されています。自己流で一気に絞るのは避けて、健康診断のついでにでも相談してみてください。

増やすときに見るところ

痩せてきている場合、まず疑うのは「計算が足りない」ではなく「食べていない」ほうです。残している量を実際にはかってみると、思ったより食べていないことがあります。

食欲そのものが落ちている場合は、量の問題ではないかもしれません。環境省の資料では、犬の「食欲がない」について「正常な犬でもフードを1〜2日間食べない個体もいますが、積極的に食べない場合は病気の兆候とも考えられます」と書かれています。気になる状態が続くときは、カロリー計算より先に獣医師に相談してください。


よくある質問 🏥

Q. シニアになったら、量は減らしたほうがいいですか?

FEDIAFの年齢別の目安では、7歳超の犬は「95(80〜120)」という区分になっていて、3〜7歳の「110」より低めです。数字の上では減る方向です。

ただし同じ資料に「7歳を超えていても、まだ遊んだり走ったりしている犬は表の値より多く必要になる」という但し書きがあります。年齢だけで機械的に減らすのではなく、体重と体型の変化を見ながらの調整になります。シニア期の入り口は犬種で差があり、環境省のQ&Aでは大型犬6〜7歳、小型犬8〜10歳ごろとされています。

Q. 手作りごはんでもこの計算は使えますか?

DERを出すところまでは同じです。ただ、そこから「何グラム作ればいいか」を出すには、その献立が何kcal/100gなのかを自分で見積もる必要があります。

環境省の資料は手作りフードについて、栄養バランスを整えるには「ペットの栄養に関する十分な知識が必要」で、レシピは専門家に相談するのもよい、という書き方をしています。カロリーだけ合っていても、カルシウムやリンなどのバランスは別問題です。

Q. 1日何回に分ければいいですか?

環境省のガイドラインでは、成犬は1日分を2回に分けるのが望ましいとされています。1日1回だと、慌てて飲み込んでのどに詰まらせたり、肥満になりやすいともいわれる、という理由です。子犬は1回に食べられる量が少ないため、4回程度に分ける形が紹介されています。

Q. 水はどれくらい必要ですか?

環境省の資料に、体重別の必要水分量(フードから摂る分を含む、1日あたりmL)の表があります。犬で抜き出すと、2kg=190、5kg=370、10kg=630、20kg=1,060、30kg=1,440、40kg=1,780 mL。

ドライフードの水分は10%程度、ウェットフードは75%程度なので、ウェットが多い子は飲む水が少なく見えることがあります。気温や運動量でも大きく変わるので、いつでも新鮮な水が飲める状態にしておくのがよいとされています。

Q. 「総合栄養食」と書いてあれば、それだけで足りますか?

公正競争規約第3条第2項では、総合栄養食を「毎日の主要な食事として給与することを目的とし、当該ペットフード及び水のみで指定された成長段階における健康を維持できるような栄養的にバランスのとれたもの」と定義しています。

そして「総合栄養食」と表示するには、公正取引協議会の定める分析試験または給与試験の結果を根拠に、それを袋に書くことが求められています(施行規則第4条第2項)。袋の隅に「この商品は、ペットフード公正取引協議会の定める分析試験の結果、総合栄養食の基準を満たすことが証明されています」といった一文があるはずなので、探してみてください。

Q. 給与量表の数字と、自分で計算した数字が違います

よくあります。給与表は「平均的な犬」向けに作られた目安なので、活動量が平均から外れている子ではズレます。

どちらを採用するか迷ったら、少ないほうから1か月試して、体重の動きで決めるのが実務的です。体重が減っていくなら足りていない、増えていくなら多い。1か月の体重変化が、いちばん確かな答え合わせになります。


この記事のまとめ

  • RER=体重(kg)×30+70、DER=RER×係数。 環境省のガイドラインに載っている式です。使う体重は「いまの体重」ではなく「理想体重」
  • 係数は活動量で決める。 環境省が例示しているのは避妊去勢済みの成犬=1.6。散歩中心の室内犬なら1.35〜1.4あたりから始めるほうが調整しやすい
  • 同じ体重でも、資料によって1.5倍近い幅がある。 5kgの成犬で280〜441kcal。式は出発点で、答え合わせは体重の変化
  • グラムは「DER÷100gあたりkcal×100」。 フードを変えたら、必ず計算し直す(同じ犬でも1日20g以上変わることがあります)
  • おやつの上限は、環境省が20%以内、メーカー公式で10%以内と数字が分かれている。 共通しているのは「与えた分だけごはんを減らす」ほう
  • カロリー表示は法令・規約上の必要表示事項ではない。 成分表示で義務なのは、たんぱく質・脂質・粗繊維・灰分・水分の5つだけ
  • この記事の数字と並べ方の基準は「選定基準」の章に全部書いてあります。 情報源の優先順位、調整しやすさ重視の並べ方、広告で順番を動かさないこと

次にやること

今日はまず、フードの袋の「kcal/100g」を確認して、いま与えている量が何kcalになっているか計算してみてください。 ここが分かると、おやつをどれだけ足せるかも、フードを変えたときに何グラムにすべきかも、全部そこから逆算できます。

そのうえで体重が思ったように動かない、あるいは体型の判断(BCS)に自信が持てないときは、次の健康診断のときにかかりつけの獣医師に相談してみてください。理想体重を一緒に決めてもらえれば、この計算はぐっと正確になります。

調べたもと(出典 14件)
  1. 飼い主のためのペットフード・ガイドライン(平成30年12月)第4章 体調管理について環境省・確認日 2026-09-10
  2. パンフレット「飼い主のためのペットフード・ガイドライン ~犬・猫の健康を守るために~」環境省・確認日 2026-09-10
  3. 飼い主のためのペットフード・ガイドライン(平成21年10月 第二版)全体版環境省・確認日 2026-09-10
  4. ペットフードの表示に関する公正競争規約・同施行規則(令和6年9月30日認定)ペットフード公正取引協議会/公正取引委員会・消費者庁・確認日 2026-09-10
  5. 公正競争規約ペットフード公正取引協議会・確認日 2026-09-10
  6. ペットフード安全法に基づく必要表示事項についてペットフード公正取引協議会・確認日 2026-09-10
  7. ペットフードの安全関係(ペットフード安全法)農林水産省・確認日 2026-09-10
  8. Calorie Ranges for an Average Healthy Adult Dog in Ideal Body Condition (updated July 2020)WSAVA Global Nutrition Committee(世界小動物獣医師会)・確認日 2026-09-10
  9. WSAVA Global Nutrition ToolkitWSAVA Global Nutrition Committee・確認日 2026-09-10
  10. FEDIAF Nutritional Guidelines(Publication October 2021)FEDIAF(欧州ペットフード工業会連合)・確認日 2026-09-10
  11. 愛犬と愛猫へのフード量はどう計算するの?栃木県動物愛護指導センター・確認日 2026-09-10
  12. 犬に満腹感はない?愛犬の健康的な食事の分量ロイヤルカナン ジャポン・確認日 2026-09-10
  13. 子犬用フードの給与量表の見方がわかりません(よくあるご質問)ロイヤルカナン ジャポン・確認日 2026-09-10
  14. 2025年 全国犬猫飼育実態調査 主要指標サマリー一般社団法人ペットフード協会・確認日 2026-09-10

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